イベント 金澤歴史 万華鏡 県立金沢文庫へのいざない

■第六十九回 善を尽くし美を尽くした錦幡(にしきのばん)
県立金沢文庫 文庫長 向坂 卓也(むこうざか たくや)

称名寺には、江戸時代に三十三種の霊宝があり、錦幡はその一つです。称名寺の塔頭(たっちゅう)であった海岸寺(かいがんじ)の周悦(しゅうえつ)という僧侶は、「称名寺古幡再興由来」という修理記録を残しましたが、これによれば錦幡は、「善を尽くし、美を尽くした」ものだったそうです。
錦幡は、残念ながら現在、原形をとどめていませんが、現存する錦の断片には、ごく一部ながら当初の鮮やかな色味が残っています。
開催中の展覧会では、この断片類と、周悦の記録を並べて展示していますので、周悦が「善を尽くし、美を尽くした」ものと感じた、往時の姿をしのんでいただければ幸いです。

◇特別展「至高の宝蔵―称名寺の国宝開帳―」
日時:3月28日(金)~5月18日(日)9時~16時30分(入館は16時まで)
費用:一般400円(300円)、20歳未満・学生250円(200円)、65歳以上200円(100円)、高校生100円
※中学生以下、障害者は無料
※( )内は20人以上の団体料金
休館日:毎週月曜日(ただし5月5日は開館)、5月7日(水)

問合せ:県立金沢文庫(金沢町142)
【電話】701-9069【FAX】788-1060