文化 市の重要無形民俗文化財に指定 海老名の祭囃子(ばやし)(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県海老名市
- 広報紙名 : 広報えびな 令和7年11月1日号
市は、ことし9月29日に、「海老名の祭囃子」を市の重要無形民俗文化財に指定し、保持団体として「海老名市はやし保存連絡協議会」を認定しました。おはやしは、近世後期から現在まで活発な活動が継続できており、地域に根付く貴重な文化です。おはやしを伝え継いでいくことは簡単ではありません。「海老名の祭囃子」に耳を傾け、地域の文化存続につないでいきましょう。
■おはやしの楽器
▽大太鼓(長胴(ながどう)・大胴(おおどう))
先導するリズムの基礎を刻み、曲の重要な箇所にアクセントを付けます。迫力ある音で曲全体を盛り上げます。
▽小太鼓(締太鼓(しめだいこ))
曲全体のリズムキープを担います。繊細なテンポや強弱で、曲調に厚みを加えます。
▽笛(篠笛(しのぶえ))
起点となるメロディーを奏で、曲の感情や情景を表現します。
▽鉦(かね)(摺鉦(すりがね)・当り鉦)
曲の緩急や強弱をリードし、他の楽器の演奏を整えます。
■海老名市はやし保存連絡協議会会長 大塚真樹さん
長年の願いだった重要無形民俗文化財の指定を心からうれしく思います。これまで支えてくださった地域の皆さんに感謝するとともに、これからも地域のみんなで守り育てながら、伝統の音を未来につないでいけたらと思います。
■重要無形民俗文化財とは
民俗文化財は衣食住・生業(なりわい)・信仰・年中行事などの風俗慣習や、民俗芸能・民俗技術とこれらに用いる衣服・器具・家屋など、人々が日常生活の中で生み出し、継承してきた生活の移り変わりを表すものです。
有形は衣食住や信仰に用いる道具など形があるもの、無形は年中行事や祭礼など形がないものを指します。特に重要なものは国や都道府県、市町村で「重要有形民俗文化財」「重要無形民俗文化財」に指定し、保存と継承を行っています。
■市内のおはやしの歴史
現在、市内には地区ごとに17のはやし連や保存会があり、それぞれ活動しています。
おはやしは近隣の町村から伝承され、市内各地域に根付いていきました。
アジア太平洋戦争以前は、各地の青年たちが、地区内外の祭礼で自慢の腕を競い合うほど盛んに演奏されていたものの、戦争が始まったために中断してしまいました。
戦後しばらくして徐々に復活し、多くは昭和50年前後に再開しました。公では、51年に開催した市制施行5周年「えびなふるさとまつり」で披露した、国分地区のおはやしが再開の始まりとされています。
■市内のおはやしの種類
大きく分けて2系統あり、地域によって基本のリズムが異なります。
▽下町囃子系
地域:柏ケ谷・上今泉・国分・下今泉・上郷・河原口・中新田
大谷を除く旧海老名村に伝わる系統。大和・綾瀬・座間方面との関連も深い。団体により呼称は異なりますが、弱奏のリズムを繰り返し、笛などの合図をきっかけに、掛け合いのある強奏部分へ進行します。
▽新囃子系
地域:
(1)大谷・杉久保・本郷下河内・本郷新宿・本郷上町・中野
(2)中河内・今里・社家・門沢橋渋谷
大谷と旧有馬村に伝わる系統。茅ヶ崎・平塚・厚木方面、特に平塚の田村囃子と関連があり、(1)(2)の2系統に分類できます。屋台囃子の「地」と呼ばれる基本リズムが(1)では「スコトン」の唱歌で始まり、(2)では「テンテケ」で始まります。
▽演奏の例
一覧については本紙をご参照ください
勝瀬地区にも津久井(相模原)からおはやしが伝承されています。
