文化 第18回 南区美術展覧会 受賞作品紹介

4部門(絵画、書道、写真、彫塑(ちょうそ)・工芸)で85点の出展があり、その中で最優秀賞3点・優秀賞4点・奨励賞9点が選ばれました。今号では、最優秀賞と優秀賞を受賞した作品と作品の審査員寸評を紹介します。
受賞された皆さん、おめでとうございます!

◆絵画部門
審査員 宮下 正孝 先生
絵画表現の出発点はモチーフとの出会いにあると思います。モチーフとの関わりの強さが見る人の心を引きつける重要な要素であると言っても良いでしょう。今回の出品作品は共通して身近な日常生活の中にモチーフを求め、何よりもモチーフとの関わりの深さが感じられる作品の集まりでした。また、出品数の少ない中、表現の仕方が油彩・エンピツ・水彩など幅広い作品が見られ、表現の基本である「自由」という点からも良い傾向かと思います。

▽優秀賞「春に、歌う」
横山 直子さん
春の心地良い季節感が、大きな空気の動きの中でダイナミックに表現されています。作者のこの季節へのウキウキ、ワクワクする心の動きが伝わってくる様です。透明感のある色の扱い方にも技術の高さとセンスが感じられます。

◆写真部門
審査員 上杉 敬(けい)先生
写真表現がデジタル化に伴い多様化している現在、写真コンテストのあり方も当然変化している。しかし、写真の表現方法が広がったと捉え、より楽しくなったとも言える。

▽最優秀賞「元気いっぱいおねえちゃんとねむいぼく」
真保 富美恵(ふみえ)さん
こどもたちの一瞬を撮(と)ら得(え)て、ひと目で伝えたいことが見る者に伝わる優しい素敵な写真です。

▽優秀賞「炎炎(えんえん)」
桑原 太一郎さん
炎の形だけをフレーミングして炎の強さ、美しさ、また怖さまで表現されている。シンプルイズベストと言える写真です。

◆書道部門
審査員 伊藤 省風(せいふう)先生
20年程前、白根市展の審査をさせていもらい、南区展になってからは初めての審査である。この地域には過去に薄田起石(きせき)、丸山翠蘭(すいらん)の優れた指導者がおられた関係で書のレベルはかなり高いようだ。出品数は少ないが、これはどこの地域も対策を要する課題である。入賞作品3点はかなりレベルが高い。

▽最優秀賞「因憶兩首(いんおくりょうしゅ)」
長谷川 白嶺(はくれい)さん
ゆったりとした運筆(うんぴつ)で余裕さえ感じさせる力作である。章法(しょうほう)としても無理なところはない。今後が楽しみな方である。

▽優秀賞「臨、蜀素帖(りん、しょくそちょう)」
目黒 由華さん
米ふつ(べいふつ)「蜀素帖」の臨書を見事に大作に仕上げた。もう少し肉太にし、更に堂々とした運筆であれば申し分ない。

◆彫塑・工芸部門
審査員 幸田 顕(こうだあきら)先生
表現の世界は、多種多様であり、特に彫塑・工芸部門においては、素材からフォルム(形)における興味は大きなものがある。そして、それぞれの技術は、より作品の価値観を高めてくれる。南区展での審査会では陶芸・陶彫(とうちょう)・刺しゅう・漆芸(しつげい)での表現が出展されていた。

▽最優秀賞「大皿」
久須美 憲二さん
背面の褐色とリズミカルに流れるような白色形体がマッチして、気品を感じさせる作品である。全体的な表現性に作り慣れている。

▽優秀賞「異国」
野川 眞優美さん
八頭身と思われるようなプロポーションのとれた作品である。人物の質感とコスチュームの質感が、よくマッチしたフォルム(形)になっている。