- 発行日 :
 - 自治体名 : 新潟県関川村
 - 広報紙名 : 広報せきかわ (2025年10月号)
 
■老化を遅らせるために
坂町病院 内科 五十嵐 仁
最近の人は先代と比べて若々しくなったと思いませんか。昔の写真を眺めると多くの人がそう感じると思います。科学的な測定の結果、確かに昔の人と比べて若い体を持っていることが示されています。なぜこのような変化が起きたのでしょうか。
若々しく見えるということは、老化が遅れていると言い換えることができます。老化は主に血管からくると考えられています。すなわち昔と比べて血管の障害が軽くなったため老化が遅れていると考えられます。日本人の死因は戦後しばらくの間、脳卒中が1位でした。脳卒中の発症原因として高血圧はとても深い関係にあります。高血圧は血管障害を起こす最大の要因であることも知られています。それでは、高血圧症を発症・悪化させる原因には何があるでしょう。
喫煙が血管障害の最強の原因です。喫煙率は年々減少してきており、そのため老化が遅れてきたと考えられそうです。塩分の摂りすぎも血圧を上げる要因です。国を挙げての減塩運動でどんどん塩分摂取量が減ってきました。最近の塩分摂取量は1日6-8g程度で、戦後の頃の半分以下と言われています。塩分摂取量が減ったことも老化を遅らせました。
薬の進歩も老化を遅らせてくれました。現代では普通に処方される降圧剤は1970年以前にはほとんどありませんでした。降圧剤搭乗後、血圧管理がとても良くなっていきました。血圧治療ができるようになると、その効果が臨床調査で見えてきました。今では血圧については、下げられるだけ下げた方が血管や各臓器の障害が起きにくくなることが分かってきました。
臨床調査により血圧以外の血管障害の要因も見えてきました。代表的なものが糖尿病であり脂質異常症です。本誌面では詳細は割愛しますが、これらの治療を適切に受けることで血管を痛みづらくなることが分かってきました。
運動も血圧を下げる効果があります。適度な運動は血管のしなやかさを保ち血圧維持に有効です。ただ屋外での運動中紫外線対策は皮膚の老化や皮膚がんの予防に大切です。皮膚の老化は目立ちます。紫外線防止の化粧品を適切に使いましょう。
昔の人と比べれば若々しいと書きましたが、きっと未来の人たちから見れば老け顔と評されるのでしょう。まだまだ改善の余地はあるはずです。手に入らない未来の商品を求めても仕方ありませんが、日々の生活の中で対策はできます。タバコを吸わない、塩分を控える、体重を減らす、運動をする、生活習慣病があれば治療を受ける…
今行えることを行い、少しでも老化を遅らせて健康的な体を保ちましょう。
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