健康 市民病院だより

◆受けてみよう!あなたのひざの健康チェック「ひざ検診」
-歩行解析からひざの健康と向き合い、将来のリスクに備える-
▽患者さんの生活の質向上のための新しい取り組み
当院では、ひざ痛に悩む患者さんの症状緩和や進行予防に向けた新しい取組みの一環として、歩行解析検査を導入しました。従来のレントゲンなどの画像検査に加え、歩行動作の詳細な解析を行うことにより、専門医師や理学療法士が患者さんの状態に応じて適切な診療やリハビリを提供し、生活の質向上のための支援を行います。
・整形外科科長 廣村健太郎

▽歩行から膝関節の状態をみる指標『KAM-キャム-』
KAM(キャム):Knee Adduction Momentとは、膝内反モーメント(膝の内転方向に加わる回転力)の略称で、人は歩行時に膝が横にぶれることが分かっており、横ぶれを元に戻そうとする力のことを指します。
KAM(キャム)が大きい(ぶれが大きい)と膝の痛みや軟骨のすり減りに影響を及ぼすことが、研究で明らかとなっていることから、KAM(キャム)の数値は将来的に変形性膝関節症※になる可能性とも大きく関係し、発病リスクや進行、予後を予測する因子として、非常に有用な指標です。
※変形性膝関節症とは?膝関節の軟骨が摩耗し、骨同士が擦れ合うことで痛みや腫れ、運動の制限を引き起こす疾患

▽KAM(キャム)を計測し、現在の状態、将来のリスクを予測
当院では、KAM(キャム)を簡便に計測できる「iMU One」という機器を導入しました。
膝に小さなセンサーを付けて歩行することでKAM(キャム)の計測を行い、歩行時の膝にかかる負荷を数値化します。
検査は短時間で、どなたでも気軽に受けることができます。KAM(キャム)の計測により、膝への負担を数値で可視化する技術を活かし、変形性膝関節症の進行リスクの予測や発病予防のためのサポートを行います。

◎年齢や状態を問わず、どなたでも幅広く受けていただける検査です
●すでに変形性膝関節症と診断され、今後の進行リスクが心配…
●今は膝が痛くないが、将来、変形性膝関節症になる可能性を知りたいKAM(キャム)を計測し、ご自身の現在の膝の状態と向き合いましょう

▽リハビリや歩行指導で変形性膝関節症の予防・進行抑制をサポート
KAM(キャム)の計測結果をもとに将来の変形性膝関節症の予防を目標として、理学療法士が患者さん一人ひとりに適したリハビリプログラムや歩行指導を行います。KAM(キャム)値の低下を目指し、膝関節への負担を軽減する歩行パターンへの改善を図るためにサポートします。
また、患者さんが日常生活で注意すべき点を指導し、自宅できるエクササイズや体重管理のアドバイスなども行います。

▼まずは、お気軽にご相談ください
この取り組みにより、ひざ痛の軽減だけでなく、変形性膝関節症の進行を遅らせることが期待できます。さらに、歩行の安定性が向上することで転倒リスクの軽減や生活の質の向上にもつながります。今後のひざの健康のためにも、ご自身のひざの状態を知り、予防することが大事です。
ひざにお悩みの人は、ぜひ一度当院で検査を受けてみてはいかがでしょうか?

問合せ:金沢医科大学氷見市民病院
【電話】74-1900
整形外科外来(内線1116)