健康 Healthy Life うえのはら健康家族 保健師からのメッセージ No.148

◆今月のテーマ 愛着障害を防ぐために大人ができること
愛着障害とは、幼少期に親や養育者との安定した愛着関係を築けなかった事がその後の子どもの人生にさまざまな生き辛さを残してしまう事を指します。健全な愛着を育み、自立し、社会の中で力を発揮出来る子どもを育てるために、私たち大人が出来ることを考えていきましょう。

◇愛着障害が子どもに与える影響
愛着が十分に形成されないと、子どもは安心感を持てず、人との関係に困難を抱えやすくなります。具体的には、次のようなことが挙げられます。
・情緒…気持ちが落ち着かず、不安や怖れをコントロールしにくくなる。
・対人関係…親や友達、先生などとの信頼関係が築けず、孤立しやすい。
・自己肯定感…自分が大切にされていないと感じ、自信が持てなくなる。
・問題行動…攻撃的、反抗的な行動が増えたり、極端に依存的になったりする。
・学習場面…集中力、継続力、記憶力などが十分に発達しない。

◇予防のために大人ができること
愛着障害を予防するためには、次のようなことを意識して子どもと接することが大切です。
(1)子どもの気持ちをまるごと受け止める…子どもが泣いたり怒ったりしたとき、「そんなことで泣かないの!」と否定せず「悲しかったね」「悔しかったね」「怖かったね」と気持ちを言葉にして伝えましょう。そうすることで子どもは、「自分の気持ちは大切にされている。分かってもらえる」と感じ、安心することができます。嬉しい気持ちを一緒に笑顔で共感するのも大切です。
(2)スキンシップを大切にする…子どもは大人と触れあうことで幸せホルモンが出て安心感を得ます。抱っこ、手をつなぐ、頭をなでる、痛いところをなでるなどのスキンシップを意識的に増やしましょう。
(3)一貫した対応をする…気分によって対応を変えないようにしましょう。昨日は優しかったのに今日は忙しいから冷たくするといった対応が続くと、子どもは「自分は本当に愛されているの?」と不安になってしまいます。ダメなことをダメと叱る一貫性も大切です。
(4)忙しくても子どもと向き合う時間を作る…仕事や家事で疲れていたり忙しくても、一日に10分だけでも子どもとしっかり向き合う時間を作りましょう。テレビやスマホは消して、目を見て話を聞いたり、一緒に遊んだり、絵本を読んだりすることで、子どもは「自分は大切にされている」と感じられます。一緒に湯船に浸かり、ゆったり語り合うのもおすすめです。
(5)子どもの可能性を信じる…どんな小さな事でも出来たことがあれば大いに褒め、「大好きだよ、いつもそばにいるよ」など、温かい言葉をたくさん伝えると、子どもの自信を持って挑戦する気持ちが育ちます。