- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県西桂町
- 広報紙名 : 広報にしかつら 令和7年8月号
■[今月のテーマ]中高年に急増“サイレントキラー”前立腺がんに要注意!
◇日本で急速に増え続けている前立腺がん
日本では、高齢化・食生活の欧米化・がん診断技術の進歩などの影響で、前立腺がん患者が急速に増え続けています。2016年から登録が開始された全国がん登録の男性罹患数(1年間で新しく発生するがん患者数)では、2017年~2022年の間でいずれも前立腺がんが1位となっています。また、厚生労働省の患者調査(令和5年)では、前立腺がんは50歳代前半では第6位でしたが、50歳代後半からは第1位の患者数であると報告されており、50歳以降の中高年は特に注意が必要であることが分かります。2022年には年間13,439人が前立腺がんで死亡しており、死亡者数は年々増加しています。(図1)
図1:日本の前立腺がん死亡者数の推移(1958年~2022年)
公益財団法人 がん研究振興財団:がん統計、資料より作成
◇前立腺がんとは?~前立腺肥大とがんの違い~
前立腺がんと前立腺肥大症は、ともに中高年の男性に多い前立腺の病気ですが、全く別の病気であり、前立腺肥大症から前立腺がんになることありません。
前立腺肥大症は良性の病気で、尿道が圧迫されて狭くなることで「おしっこがでにくい」「頻尿になった」「排尿後もすっきりしない」等の症状が現れます。
一方で前立腺がんは尿道から離れていることが多く、排尿に関する症状が出にくく、初期のうちは無症状です。そのため、何らかの症状が出てから泌尿器科外来を受診し、がんと診断された場合20~30%の患者さんは、すでにほかの臓器(主に骨)に転移した状態で発見されます。
このように、前立腺がんは静かに病気が体を蝕んでいき、死に至らせる恐れがあることから、“サイレントキラー”と呼ばれています。
◇前立腺がんが進行する前に…早期発見のカギ“PSA検査”とは
前立腺がんでは、PSA(前立腺特異抗原)が血中へ漏れ出ているため、高く検出されます。PSA検査は血液検査で約1mlの血液があれば測定することができるとても簡単な検査です。検査は簡単ですがその検査精度は高く、100人中87人の前立腺がんを発見し、その多くは転移を有する進行がんになる前に発見することができています。(群馬大学データより)
◇前立腺がん検診(PSA検査)を受けましょう
PSA検査は(1)町の集団健診(50歳以上が対象)(2)人間ドック(オプション検査)(3)医療機関(何らかの自覚症状があって、前立腺がんが疑われる場合のみ)で受けることができます。ご家族(親・兄弟)に前立腺がんの方がいる場合には、40歳からのPSA検査が勧められますので、かかりつけ医または泌尿器科へご相談ください。
PSA値は前立腺肥大症や炎症がある場合でも検出されるため、PSA検査を受けた約8%の方が基準値を超えて“がん疑い”となります。良性の病気と鑑別をするためには精密検査を受ける必要があります。精密検査の対象となった場合には、必ず受診しましょう。
問合せ:福祉保健課 保健係
【電話】25-4000