- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県須坂市
- 広報紙名 : 広報須坂 令和7年8月号
~信州医療センター小児科の櫻井文佳先生にお話を伺いました~
◆熱を出した場合
Q:夜間に子どもが熱を出した場合は?
A:もともと元気なお子さんが急に熱を出す原因は、ほとんどがウイルス感染によるものです。基本的にウイルスに直接効果のある薬はありませんので、症状が発熱やかぜ症状だけである程度元気があり、水分も取れるのであれば、診療時間まで待って受診することをお勧めします。
生後3カ月に満たない赤ちゃんの38度以上の発熱、ぐったりしている、ゼーゼーして呼吸が苦しそう、けいれんなど、いつもと違う様子があれば、すぐに受診してください。悩む場合は、♯8000に電話して相談してみても良いと思います。(平日・休日ともに午後7時~翌日午前8時)
Q:高熱が出た場合、脳に障害が残る心配は?
A:高熱そのもので脳に障害が残るということは医学的に証明されていません。仮に熱が40度を超えたとしても、その原因がかぜなどの軽症の病気であれば、後遺症の心配は通常ありません。
Q:発熱時の解熱剤の使用は?
A:解熱剤は一時的に熱を下げ、子どもの苦痛を和らげる作用はありますが、もとの病気を治す効果はありません。ただ、一時的に熱を下げることで眠れるようになったり、水分が取れるようになったりすることはあるので、38・5度以上でぐったりしている時には使用してあげてください。
◆嘔吐(おうと)した場合
Q:ウイルス性などの胃腸炎で嘔吐が続く場合は?
A:少量ずつ糖分を含んだ水分を取らせてください。治療用経口飲料が薬局などで簡単に手に入りますので、脱水・低血糖予防にはこういった商品をお勧めしています。ただ、小児では、独特な味のため飲まないことがあります。その場合は、ジュースなどでも大丈夫です。ペットボトルのふたやスプーンから徐々に増やしていきます。嘔吐が続き、尿が少なくなるようであれば、脱水状態と考え受診しましょう。
◆感染症が流行しています
Q:「百日咳(ひゃくにちぜき)」はどんな症状?予防法は?
A:普通のかぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増え激しい咳になります。その後、特徴のある発作性けいれん性の咳となり、咳と共に嘔吐を伴うこともあります。成人では、比較的軽い症状で経過することも多く、受診・診断が遅れ感染源になることがあります。乳児の周りでは特に注意が必要です。長引く咳などの症状がある方は、早めに医療機関を受診しましょう(潜伏期間は7~10日程度)。
予防法…(1)手洗い、マスクの着用、咳エチケットなどの基本的な感染対策をしましょう。(2)予防接種(五種混合ワクチンなど)が有効です。生後2カ月を過ぎたらできるだけ早く計画的に接種しましょう。(3)1歳以下の乳児では、重症化することがありますので、家庭内感染などの予防に努めましょう。
Q:「伝染性紅斑(リンゴ病)」はどんな症状?予防法は?
A:5~9歳ごろに最も多く発症します。微熱やかぜ症状のあと、両頬にチョウの羽のような境界鮮明な赤い発疹と、手足にレースのような網目状の赤い発疹が現れます。妊娠中に感染した場合、胎児にも感染し、胎児水腫など重篤な状態や流産のリスクとなる可能性があります(潜伏期間は10~20日程度)。
予防法…手洗い、マスクの着用、咳エチケット、換気などを心がけ、発熱やかぜ症状があるお子さんと妊婦さんの接触はなるべく避けましょう。