くらし 中野市の自然

■中野市の鳥チョウゲンボウ
チョウゲンボウは中野市の鳥である。そのチョウゲンボウに関わるようになって35年ほどになるが、チョウゲンボウの観察や傷病鳥を保護する時にいつも思うことがある。それは、チョウゲンボウが可愛い鳥であることだ。
チョウゲンボウはハトくらいの大きさの猛禽類(もうきんるい)である。猛禽類で思いつくのは、タカの仲間。タカは生きた獲物を捕らえるため、「凛々(りり)しい」や「獰猛(どうもう)」のイメージがある。チョウゲンボウもハタネズミや小鳥類を捕らえるため、立派な猛禽類。しかし、イメージは「カワイイ」。観察会でチョウゲンボウを見た小学生たちも、口をそろえて「カワイイ」と言う。
この見た目の違いには理由がある。実は、チョウゲンボウはタカの仲間じゃない。ハヤブサの仲間である。以前はハヤブサの仲間はタカの一部と考えられていたが、2012年に日本鳥学会から出版された「日本鳥類目録」改訂第7版でハヤブサの仲間はタカ目から独立し、ハヤブサ目ハヤブサ科となった。
そして、その根拠となったゲノム解析からは、ハヤブサ目はタカ目との類縁は遠く、むしろスズメ目やオウム目に近いという証拠が出された。最近可愛いと評判の鳥はシマエナガ。シマエナガはスズメ目である。チョウゲンボウがタカ目よりスズメ目に近いことが、可愛さに関係しているのかもしれない。

本村健
生涯学習課学芸員