くらし 特集 ひととまちを守る FIRE FIGHTERS

火事や災害、事故の発生、人が倒れた―。
この不測の事態に迅速に駆け付け、生命と財産を守るため、現場の最前線で活動している「消防官」。
岳南広域消防組合には115人の職員が勤務し、24時間体制で出動に備え、業務や訓練をしています。
特集では日々厳しい訓練に励み、最前線で活動する消防官の皆さんを紹介するとともに、私たちが不測の事態に備えて意識すべきことを考えます。

■岳南広域消防組合
中野市と山ノ内町の1市1町で構成されており、全体の指令などを行う消防本部と中野消防署をはじめとする、1本部2署2分遣所からなります。
それぞれ管轄区域はあるものの、大規模災害などがあった場合に迅速な対応ができるよう、全域に渡り連携体制が整っています。

○種類別出動件数(過去3年間)

(単位:件)

■市内の出動件数
出動は大きく分けて火災・救急・救助の三つがあります。
昨年の市内における出動件数は、火災では25件で元号が令和になってから最多となり、損害見積額の合計は約9000万円でした。
救急では2123件、救助では21件と過去3年間で最多となっています。

○救急隊
傷病者の症状から必要な救急処置を行いながら、症状に応じた適切な医療機関へ搬送します。

○消防隊
消火活動を主な任務としており、火災の通報があった際、いち早く駆け付けます。
地域の防火・防災意識を高めるための活動も行っています。

○救助隊
火災、交通事故、自然災害などさまざまな現場で人命救助を行います。
専門的な知識・技術、特殊な装備を駆使して人々を救出する人命救助のエキスパート。

■“もしも”のときは119 私たちが駆け付けます
中野消防署 消防隊長 渡辺
消防署の職員は住民サービスに全力を尽くし、地域の皆さんの生命、財産を守ることを使命としています。
私たちは皆さんにより安全・安心に暮らしてもらえるよう、火災、救急、救助のような緊急対応はもちろん、広報活動、火災予防、火災原因調査、講習会などの活動に日々力を注いでいます。
皆さんにとって私たちをより身近な存在に感じてもらえるよう、消防訓練として保育園、幼稚園へ出向し園児と一緒に避難、消火訓練を行ったり、実際に消防車を展示して消防官と一緒に訓練の一部を体験していただくような活動も行っています。
管内の建物には、職員が出向し防火指導を実施したり、少しでも救命率が向上するよう救急講習なども実施しています。
私たちは常日頃からこのまちと皆さんを守るために全力で活動しています。
もしものことがあれば、ためらわず119番通報をしてください。私たちがすぐに駆け付けます。

■消防隊 Fire brigade
消防隊としての誇りを背負って―
消防隊 中村隊員

○全ての活動の基本となる部隊
消防隊は主に消火活動をする部隊です。人命救助を最優先に延焼の防止や効果的な消火をするため、日頃から訓練を行っています。
そのほか災害にも出動し、救助活動の補助や救急活動の支援を行うこともあり、全ての活動の基本となる部隊です。

○安全・確実・迅速が消防活動の原則
災害活動中は一瞬の気の緩みが事故につながってしまう可能性があるため、日頃から消防活動の原則「安全・確実・迅速」を意識し、災害活動を集中して行えるよう訓練を重ねています。
部隊に関わらず全職員が、地域の皆さんの安全・安心を守るための活動ができることに誇りを持っています。

▼Column
住宅用火災警報器を設置しましょう!
これから冬にかけて暖房器具を使用する機会が増え、火災が発生しやすい季節となるので、火の元の管理には十分注意しましょう。
火災による死者は就寝中に発生した火災によるものがほとんどです。寝室に住宅用火災警報器が設置されていれば、就寝中でも大きな警報音で火災に気付き避難することができます。安価ですが大変効果が高く、高齢者や幼いご家族を火災から守るためにもぜひ設置をお願いします。
※条例により住宅には「住宅用火災警報器」の設置が義務付けられています。

■救急隊 Ambulance team
人命に直結する仕事 常に学び続ける
救急隊 清水隊員

○救急隊としての仕事
救急救命士は傷病者に特定行為(気管挿管、薬剤投与など)と呼ばれる救命措置が行えます。
その際、傷病者の全身観察や問診から傷病程度や原因を把握し、適切な処置と医療機関の選定を行い病院搬送を行います。
その他にも学校や事業所に対してAEDの取扱方法や心肺蘇生法などの救急講習会も行っています。

○常に万全を期して
救急活動は人の命に直結する仕事です。そのため知識や技術、判断力など常に学び続ける必要があります。さらに状況によっては、一刻を争う事態になることも考慮し、常に万全を期す必要があります。
全ての部隊が行っていることですが、毎朝、資器材と救急車の点検・整備を入念に行い、いつ、いかなる時に通報があった場合でも迅速かつ確実に救命活動が行える準備をしています。

▼Column 救急車の適正利用のお願い
救急車の台数は限られているため、緊急性の高い傷病者が優先的に利用できるよう皆さんのご理解とご協力をお願いします。
軽度の体調不良、けがや問題なく歩行・会話ができる場合は一度、ご家族や身の周りの方に相談してください。判断に迷うようであれば、救急車を呼ぶべきかを電話相談できる#7119(救急安心センター)または子どもの症状について受診すべきか電話相談できる#8000(小児救急電話相談)をご利用ください。

■救助隊 Rescue team
○「瞬時に判断」が求められる現場
安全かつ迅速に救出することを最優先に「冷静な判断」、「高度な技術」、「チームワーク」、「要救助者への配慮」を常に意識しています。
現場では要救助者はもちろん自分や仲間の命を守るため、いかに安全を確保するかを念頭に置きつつ、瞬時に判断をすることが求められます。

○日々、不測の事態に備える
出動要請はけが人や急病人を救急隊の装備だけでは救助ができない時です。例えば、交通事故によって車体が潰れてしまったことにより負傷した方の救出が困難となってしまった際、車体を破壊し、救出を行います。
救助隊はいかなる状況におかれている要救助者でも、安全・確実・迅速に救助するため、日々、多種多様な資機材の点検や取り扱い方法の確認、さまざまな訓練を行い、不測の事態に備えています。

▼Column 長野県救助技術大会
毎年6月中旬頃に長野県消防学校で、救助技術を競う救助大会が開催されます。岳南広域消防本部からは水平に張られた20mのロープを往復で渡るロープブリッジ渡過訓練、同じくロープを渡って対岸にいる要救助者を救出するロープブリッジ救出、5人一組でさまざまな障害物を突破してゴールするまでのタイムを競う障害突破訓練に出場しています。大会当日は観覧が可能ですので、ぜひ見に来てください。