くらし ずくを出して技量を磨いて《原村猟友会》
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- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県原村
- 広報紙名 : 広報はら 2025年8月号
村では、有害鳥獣駆除のため狩猟免許をお持ちの皆さんにご協力いただいています。原村猟友会に昨年加入され、ワナ猟を行っている女性お二人と会長さんに活動の様子など、お話をうかがいました。
■楽しみと苦労を繰り返し
◇ワナ猟というのはどのように行うのですか?
小池:鹿の通りそうな場所にワナを仕掛けます。しっかりした木を支点にワイヤーを張り、踏むと跳ね上がって獲物が掛かる仕組みです。
友美:私たちは新人なので、段取りや手順などまだまだ馴れないことだらけです。仕掛けたワナに自分が掛かってしまったことも(笑)。
小池:仕掛けたあとは毎日様子を見回らなくてはなりません。忙しい日や用事のあるときは「頼むから今日は掛かっていないでくれと」と思いながら(笑)。
年美:そういうときに限って掛かっていたりするのですよね(笑)。
小池:仕掛けたときは楽しみですが、実はその後が大変です。雨が降った後は泥だらけになって捕獲することになります。角(つの)があると刺される危険もあります。
友美:以前に崖の縁で掛かったシカが暴れて、あの時は危なかったです!
年美:土を掘ってワナを仕掛けるのですが、それに気付いて、鹿は避けて通るんです。雨が降ると掘った土の匂いも消えますが、本当に自然の中での駆け引きですね。
小池:狩猟は「ずくと技量」です。これから二人にはどんどん経験を積んでもらえれば良いと思います。
■村の自然と人々に囲まれて
◇年美さんと友美さんは村に移住してこられたのですね。
友美:以前は埼玉に住んでいて、茅野や諏訪を経て、9年前に原村に来ました。
年美:村に来た時に木の上にノスリの巣があるのを見つけて興味を持ち、鳥(猛禽類)を飼い始めました。鹿肉をジャーキーにしたら犬や鳥の餌になるな、と考えたのが、狩猟をやろうと思ったきっかけです。「猟友会」というとどんな感じかとドキドキしましたが、皆さん温かく受け入れてくださって。
小池:今、女性が3人いて、会の雰囲気が和やかになったような(笑)。
年美:「穴を深く掘るといいよ」とか「階段状にして歩かせるように仕掛けるといいよ」など、先輩方にいろいろ教えていただいています。
友美:私たちは地元の農家さんから野菜をいただいたりしていますから、有害獣駆除という形で恩返しができれば、という気持ちがあります。
小池:以前は20頭くらいの群れが畑に来て作物を荒らしていました。駆除で数は減っていますが、来るのが3~4頭だとしても農作物に被害は出て農家さんは困ってしまいます。地道に活動を続け、少しでも被害が減っていけばと思っています。
■命あること、いただくこと
◇駆除した後はどのように?
年美:肉はジャーキーにして鳥や犬の餌になるのと、骨や角(つの)は犬が齧(かじ)る最高のおもちゃになります。
小池:鹿肉は早く処理をすれば我々も美味しく食べられますよ。
友美:焼肉や唐揚げ、煮込み料理などにして家族でいただいています。子どもたちには鹿に限らず、普段口にする鶏肉や豚肉も、どうやって食卓まで来るのか理解しなさい、そしてそれに対して感謝しなさい、ということを教えています。野性と人間との共存が難しいなか、そのバランスを取るために猟友会の活動も一助になっているのだと思います。
小池:猟友会は高齢化が進んでいます。若い方が活動に興味を持ってくれたら嬉しいですね。
■お願い
・ワナを設置した近くには目立つ色の表示が付けられています。この場所には近づかないようにしてください。
・ワナの設備および掛かった獲物は仕掛けた人の所有物です。設備を持ち去ったり獲物を逃がしたりすると窃盗罪になる可能性もありますのでご注意ください。
◎長野県では年数回、狩猟免許の試験を行っています
狩猟に関するご相談/免許・講習のお問い合わせなどは:農林課農村整備係
【電話(直通)】79-7932