くらし 地域おこし協力隊 平林 伊良原発

■対話のタイムマシン
こんにちは。今月は地域福祉担当の伊良原、八ヶ岳美術館担当の平林が連名でお届けします。
八ヶ岳美術館の入口スペース(入場無料)にて現在、私たちが昨年度から進めてきた活動の成果を展示しています。村所蔵の民俗資料といっしょにお年寄りとおしゃべりする活動です。資料を取っ掛かりにして対話をすることで、世代や育ちを越えてあっという間に仲良くなることができます。お話を通して過去の村の生活が垣間見えることから、私たちはこの場を「対話のタイムマシン」と呼んでいます。
たとえば、糸枠。蚕から出た糸を巻き取るための道具です。糸枠を前に「これってどういうときに使うんですか」と問いかけると、回答とともに様々な思い出が蘇ります。「家の中はお蚕様の場所だから人間は縁側で寝た」「桑を食べる音は滝の音みたいだった」「繭をとる時期は学校が休みになった」などなど。田植えや繭とりの時期はしばしば学校が休みになったようで、子どもが毎日学校に通うのは昔からの当たり前ではなかったんだなと驚きました。資料を媒介に古くて新しい価値観と出会える、その時間がとても楽しいし、古いものを残す意義を感じます。
また、「お葬式のときにこの糸枠を使った」というお話もあります。曰く、出棺ののちに座敷の上で糸枠を転がしたとのこと。本来の用途とは異なりますが、死の不浄を家の外に追い出すという民間信仰がそこにあらわれていたようです(この風習は『原村誌』でも言及されています)。古い道具の使い方やかつての風習について生の声で聴くと、資料が語る過去を現実のものとして実感できます。
対話に使用した実物の民俗資料とともに、お聴きした様々なエピソード、その記録映像をご覧いただけますので、八ヶ岳美術館までぜひお越しください♪

地域おこし協力隊員:
・平林 壮太
・伊良原 裕子