くらし 〔特集〕認知症とともに生きる―安心して暮らせるまちを目指して―
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- 発行日 :
- 自治体名 : 岐阜県恵那市
- 広報紙名 : 広報えな 2025年7月号 No.396
高齢者の五人に一人は認知症になる。
そんな推計がある現在、認知症の方とその家族が安心して暮らすための法律「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が昨年1月に施行されました。
認知症について、当事者、家族、地域としてどう向き合い、どう支え合うかが求められています。
■知る認知症とは?
認知症について、皆さんはどのくらい知っていますか。正しく理解することが、認知症とともに安心して暮らす第一歩につながります。
◆軽度認知障害〔MCI〕
物忘れなど軽度の認知障害があるものの日常生活には大きな支障が出ていない状態。そのままにしておくと認知症に進行しますが、運動や食生活など対策することで、健常な状態に戻る可能性があります。
◆認知症
さまざまな病気により、脳の神経細胞の働きが減少することで、記憶力や理解力などの機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態。
◆本や映画で認知症を知ろう
▽マンガでわかる!「認知症の人が見ている世界」
遠藤英俊監修/川畑智著文響社
認知症ケアの現場で数多くの認知症の方と接してきた著者が経験をもとに、認知症をマンガ形式で、分かりやすく解説しています。
▽「ばあばは、だいじょうぶ」
認知症をテーマにした映画を上映します。入場は無料です。
日時:8月7日(木)午前10時半(10時開場)
場所:恵那文化センター
申し込み:申し込むフォームから申し込む。
※申し込みフォームは、本紙をご覧ください。
申込み・問合せ:地域包括支援センター
【電話】26-6828
■気づく もしかして、認知症かも
曜日を間違える、物をなくすことが増えたなど、認知症が心配されるようなことがあればまずは地域包括支援センターに相談ください。
◆認知症初期集中支援チーム
地域包括支援センターには、認知症の早期診断と早期対応を目的に、一定期間(約6カ月)集中して支援する専門チームがあります。認知症サポート医と保健師、社会福祉士、認知症地域支援推進員の専門職で編成しています。
▽支援の内容
・相談と訪問
相談後、自宅にチーム員が訪問し、本人や家族の状況を確認
・会議
チームで情報を共有し、よりよい生活に向けたサポートを検討
・初期集中支援の実施
訪問活動など行い、サービス利用につなぐ
・支援・引き継ぎ
必要に応じて専門医療機関の利用などのサポート、地域の医療や介護機関に引き継ぎ
▽支援対象者
・40歳以上の方で、認知症が疑われる方か認知症の方で、以下のどちらかに当てはまる方
(1)医療機関で認知症の診断を受けていない方か治療を中断している方
(2)適切な医療・介護サービスに結びついていない方か利用を中断している方
■支え合う 地域ぐるみの支援
認知症の方とその家族の方を支えるさまざまなサポートがあります。その一部を紹介します。
▽ささゆりカフェ(認知症カフェ事業)
ささゆりカフェは、平成25年から始まった事業で、認知症の方とその家族を中心に誰でも参加できる交流の場です。ゆっくりコーヒーを飲みながら、医療・福祉の専門スタッフに認知症の悩みなど相談ができます。
▽見守りシールの配布
この見守りシールは、認知症の方が衣服や持ち物に貼るものです。認知症の方が行方不明になった場合、発見した方が二次元コードを読み取ると、認知症の方の家族と連絡をとることができます。シールを貼った方が一人で歩いているのを見かけたら、ためらわず声をかけてください。
※詳細は、本紙をご覧ください。
■支え合う 認知症サポーター養成講座
認知症を正しく理解し、自分のできる範囲で認知症の方やその家族を見守り、支援する「認知症サポーター」を養成する講座です。1回の受講でサポーターになることができます。
▽今後の講座予定
◆家族のつどい
認知症の方もそうでない方も、安心して暮らせるまちを目指す団体です。認知症の方を地域の一員として捉え、ともに活動できる形を模索しながら、活動しています。
認知症の方の家族、介護を経験した方が集まる場として開催しています。
日頃の悩みをみんなで話すことで、リフレッシュしませんか。
7月の開催は本紙10ページを参照ください。
◆えな認知症みらいプロジェクト(恵那市チームオレンジ認定団体)
認知症の方もそうでない方も、安心して暮らせるまちを目指す団体です。認知症の方を地域の一員として捉え、ともに活動できる形を模索しながら、活動しています。
◆認知症の方の権利擁護
認知症の方も一人の個人として尊重され、その人らしい生活を送る権利があります。
権利擁護とは、その権利が実際に守られるように支援する活動です。
主には、成年後見制度や、高齢者虐待防止活動などがあります。通帳やお金の管理が心配、介護で家族が疲弊し休まらないなど困りごとがあれば、地域包括支援センターへ相談ください。
■歩む 認知症とともに歩む
市内に住む認知症の方に話を聞きました。認知症になってもこれまで通りの生活を送りたい。そう願う方がいます。そのためには、認知症への理解を深め、支え合うことが大切です。
▽一人で悩まず、まずは話してみませんか~「物忘れ」で病院にかかった私の体験から~
昨年の冬、看護師をしている友人から「病院で診てもらった方がいいかも」と言われ、紹介されたのは脳神経内科。診断の結果、非常に軽度の認知症でした。軽度とはいえ、自分の中では大きな出来事でした。そして「できて当たり前」であったことが少しずつ難しくなることに、不安や戸惑いを感じました。
そんなとき、地域で開催されている認知症の相談会や交流会に参加するようになりました。そこでは同じような悩みを持つ人たちや、専門職の方々と話すことができ、気持ちがとても軽くなったのを覚えています。
診断から半年経った今でも、できる範囲の家事と、これまで続けてきた仕事などを行っています「自分でできることはなるべくやりたい。でも困った時には、素直に『助けて』と言える関係があった方がいい」そう感じながら日々過ごしています。
市内には私と同じような不安を抱えている方もきっといるはずです。そんなときは、一人で悩まず、誰かに話してみることから始めてみてください。私自身、地域とのつながりの中で、新たな仲間や安心できる場所を見つけることができました。
認知症になったからといって、悲観することはありません。少しでも不安なことがあったら「話してみようかな」という軽い気持ちで一歩踏み出してみてくださいね。
問合せ:地域包括支援センター
【電話】26-6828