文化 「輝く恵那人」247人目

■中山太鼓と共に生きる70年串原の誇りを全国へそして未来へ
県が指定する重要無形民俗文化財「中山太鼓」。同保存会で副会長や会長を務め、少年部への指導を行う傍ら、篠笛作りまで一手に担うのが大島正昭さんだ。
大島さんが中山太鼓に出会ったのは15歳の時。10月の中山神社例大祭に向け、仲間と練習に励む中で中山太鼓の魅力に引き込まれた。
担い手が減少する中山太鼓を未来に引き継ぐため、大島さんが36歳の時に保存会が設立され、同会の中心人物となった。40歳で名誉師範に認定され、指導者としても活躍。同年、串原中に少年部が設立されると、以降40年以上週一度の指導を続け、計461人を育てた。たたき手としても国立劇場や関西空港開港式典で演奏を披露するなど、活躍の場を広げてきた。
他にも、中山太鼓に魅せられた、香川県や神奈川県、東京都や群馬県などの団体への指導や交流にも尽力してきた。「彼らが例大祭に参加してくれるおかげで祭りがにぎやかになる。中山太鼓は、串原以外の人も積極的に受け入れる、参加型の伝統芸能だ」とほほ笑む。
保存会の活動の傍ら、大島さんは30代から篠笛作りにも取り組み、手がけた笛は1000本を超える。高音が特徴の串原の笛。竹選びから穴の位置の調整、制作や修理までを一人で担っている。
大島さんの夢は、中山太鼓を郡上踊りのように全国に知られる存在にすること。串原中の閉校に伴い、本年度で少年部は終了するが「恵那南地区全体に中山太鼓の輪を広げるチャンス」と前を向く。
「中山太鼓は歯を食いしばるのではなく、舞いながら笑顔でたたく爽快な太鼓。たたく人が楽しいと思えるのが一番の魅力。10月19日の例大祭にぜひ来てほしい。バチを持ったことがない人も大歓迎。舞って笑って太鼓をたたき、一緒に中山太鼓の魅力を味わってほしい」と話す大島さんの表情には中山太鼓への愛があふれている。

◆大島正昭(まさあき)さん(84歳)(串原相走)
□プロフィル
中山太鼓保存会として、43年間少年部(串原中学校)への指導を行い、計461人を育てた元会長。中山太鼓で使う篠笛の唯一の作り手でもある。趣味は蜂ぼい(蜂を追って蜂の巣を見つけること)で、捕まえたオオスズメバチを甘露煮にしたり焼酎に漬けたりして楽しむのが元気の秘訣。