くらし 【特集】人にやさしく。 3月は自殺対策強化月間です。(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県沼津市
- 広報紙名 : 広報ぬまづ 2025年3月1日号
桜の開花が待ち遠しい季節となりました。3月は厚いコートやマフラーを脱ぎ、明るい色の装いが増えてきます。入学、入社など新生活を目前に、やる気や高揚感に満ちあふれている人も多いのではないでしょうか。一方で、環境の変化をストレスに感じる人も少なからずいるのです。
令和5年度のデータを参照すると国内では、3月・4月は「自殺」という悲しい選択に追い込まれてしまう人が多く見られました。
3月を自殺対策強化月間として、国を挙げて自殺防止に向けた集中的な啓発活動を実施しています。本市でも、第2次いのち支える沼津市自殺対策行動計画を策定し、啓発活動や様々な相談窓口の設置、より専門的な機関につなぐことなど、一人でも多くの人が悲しい選択に追い込まれずにいられるようサポートしています。
自殺防止に向けた取組は、行政や医療からのアプローチだけではありません。沼津に暮らす私たちも、身近にいる人が何かに困っていたときや不安な表情を見せたときには「聴くこと」、「寄り添うこと」、「話すこと」などを通じて心の支えとなることができます。今回の特集は、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応をとることができる人、「ゲートキーパー」についてです。
あなたのやさしさが身近な人の命を救うことにつながります。皆さんもゲートキーパーのことを知り、ゲートキーパーになってみませんか。
※この記事は、人によっては悲しい気分になったり、苦しい思いをすることがあるかもしれません。気分が悪くなった場合は読み進めるのを止め、周囲の人や保健センター等に相談してください。
■知っていますか?悲しい選択の現状
年度別自殺者数の推移(全国)
令和元年度からのデータを参照すると毎年度2万人を超える自殺者数で推移しています。また、男女別に見ると、男性の自殺者数は女性を大きく上回っていることがわかります。
※出典:厚生労働省自殺対策推進室作成資料
[4人に1人]本気で自殺したいと考えたことがある人
[4人に1人]周りの人を自殺で亡くした経験がある人
[7割]自殺を考えたときに誰にも相談していない人
[6.2%]自殺未遂を経験したことがある人
※出典:日本財団第4回自殺意識全国調査報告書
人の「命」は何にも代えがたいものです。しかし、自殺者は後を絶ちません。全国的な傾向として、年に2万人を超える人が自ら命を絶っており、深刻な状況が続いています。また、厚生労働省が実施した意識調査でも、4人に1人が「これまでに本気で自殺を考えたことがある」と回答しています。自殺という悲しい選択に追い込まれてしまう人がいるなか、自殺者数の増減はデータとして現れるものの、潜在的な可能性は探りきれない部分もあります。
WHO(世界保健機関)が「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題である」と明言しているように、自殺は社会の努力で「避けることのできる死」であるというのが、世界の共通認識となっています。
■そういえば ゲートキーパーってどんな人?
ゲートキーパーとは、身近な人の「いつもと違う様子」に気づき、声をかけ、話を聴いて、必要な支援につなげ、見守る人のことです。「命の門番」とも呼ばれ、自殺対策において大切な役割を担っています。
第2次いのち支える沼津市自殺対策行動計画では、[誰も自殺に追い込まれることのないまちぬまづ]を目指しています。医師や看護師、介護士や民生委員などの専門的な知見を持つ人だけでなく、一人ひとりの気づきと見守りを促すことが必要です。市では、一人でも多くの市民の皆さんが、身近な人のこころの悩みに気づくことができるよう講座の開催や啓発活動等に取り組んでいます。
もっとも、ゲートキーパーは資格職でもなければ認定制度があるわけでもありません。講習を受講し、命の門番としての意識と行動が伴うことがゲートキーパーのはじめの一歩です。一人でも多くの人が、ゲートキーパーとしての意識を持ち、それぞれの立場でできることから進んで行動を起こしていくことが自殺対策につながります。