くらし 市政羅針盤(らしんばん)

染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:デジタル技術と共に築(きず)く、誰もが安心して暮らせるまち

■身近になったデジタル化
最近では、あらゆる年代にスマートフォン(スマホ)が浸透し、友達同士や家族間での交流にSNS(X、Facebook、Instagram、LINEなど)を活用する方が多くなりました。スマホを使えば、さまざまな情報を瞬時に検索できますし、オンラインショッピング(通販)、キャッシュレス決済、遠隔診療(在宅で医師のリモート診療を受ける)など、日常生活の利便性が増し、外部とのつながりが広がります。他にも、デジタル技術の進歩は、自動運転技術の進展、AIを活用した災害予測システムなど、生活のあらゆる場面で私たちの利便性と安全性を向上させています。その一方で、「社会の『デジタル化』について良いとは思わない」「デジタル化になじめない」といった声も一定数あることは事実です。また、技術の恩恵を十分に享受できず、情報格差からくる不満や不安を感じる人々も存在します。すべての市民が安心して暮らせる社会を実現するためには、デジタルの力を誰もが享受できるようにする取り組みが不可欠です。今月は、このテーマでお話します。

■行政のデジタル化と社会に普及する技術
まず、デジタル技術の可能性について考えてみましょう。例えば、島田市の行政サービスは、現在540の行政手続きにおいて、24時間いつでもどこでもオンラインで必要な手続きを申請することができます。一例をあげれば、「しまいく+(ぷらす)」は、「スマホで手続きしたい!」「平日昼間は忙しくて…」という子育て世代の思いに応えるためにできたオンラインサービスです。市役所の各窓口に行かなくても、窓口が開いていない時間でも、いつでもスマホやパソコンからアクセス可能で、お子様の年齢にあった申請・相談メニューが自動で表示されます。子育ての悩みも、真夜中にチャットで送信すれば、翌開庁日に担当保健師から返信が届きます。医療分野では、利用者はまだ少ないものの遠隔診療が普及することで、地域に関係なく専門医の診察やアドバイスを受けることが可能となり、健康管理の新たなカタチが実現しています。また、スマホを活用した交通情報サービスは、利用者に最適なルートや運行状況をリアルタイムに伝えることで、移動がスムーズになり、安全性の向上にも役立ちます。さらに、AI技術を取り入れた防災システムは、数時間前から線状降水帯の発生を予測するなど、災害発生時の迅速な情報伝達や避難支援に貢献し、市民の安全安心を守る重要なツールとなっています。

■生活に欠かせないデジタルに適応するために
しかし、いくら便利なサービスと言われても、高齢者やデジタルに不慣れな方々は、新しいシステムやアプリの操作を敬遠しがちです。今はまだ、デジタルとアナログ(紙媒体など)の両方が必要な過渡期なのです。本市では、高齢者のためのスマホ教室を市内随所で開催するなど、専任の支援員をおいて初心者でも安心して繰り返し学べる機会を提供していますので、今後さらに充実させてまいります。人と人との交流は、リアルに会って語り合うのが一番ですが、デジタル技術は人と人とのつながりを補完し、安心を守るための手段にもなることを皆さんに力説したいです。例えば、私のスマートウォッチ(腕時計)は、転んだり躓(つまず)いたりすると「激しく転んだようですが大丈夫ですか?」と音声が流れけがはないか、家族へ連絡するかなどの選択画面が出て安全を見守ってくれます。他にも、血圧、心肺機能、睡眠時間や睡眠の質、万歩計機能などが付いていて健康管理にも役立っています。つまるところ、デジタルによる見守りサービスは、日常の安全確認や緊急時の迅速な対応を可能にし、離れて暮らす家族の安心にもつながっています。このように、デジタル技術は単なる便利なツールに留まらず、私たちが安心して快適な生活を営むための基盤となっています。重要なのは、技術自体の進歩だけでなく、それを誰もが使えるようにしていく取り組みです。行政と地域が連携し、市民一人一人のニーズに寄り添った支援体制を整えることで、「誰ひとり取り残されないデジタル社会」の実現を目指してまいります。ご町内への出前講座も実施していますので、DX推進課【電話】36-7969までご連絡ください。

問合せ:秘書課
【電話】36-7117