- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県島田市
- 広報紙名 : 広報しまだ 2025年5月号
染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:大井川を越えて 新生「島田市」20年の歩み
■合併がもたらした経済的な効果とインフラ整備
2005年5月、旧島田市と旧金谷町は新たな未来を見据えて合併し、新生「島田市」として歩み始めました。あれから20年、私たちのまちは、大井川の流れとともに発展し、旧川根町とも合併するなど、多くの変化を遂げてきました。合併20周年という節目に立ち、今回は、島田・金谷地域のこれまでの歩みを振り返り、未来への展望を考えてみたいと思います。
まず、合併により、市域が広がったことで、より広範な経済圏を形成することが可能になりました。特に、新東名島田金谷インターチェンジ(IC)周辺の整備が進み、企業立地が活発化しました。今後は、牛尾山地区をはじめとするふじのくにフロンティア推進区域内の整備をさらに進め、引き続き企業誘致を推進していきます。これにより、雇用の創出が促進され、市民の生活の安定につながっていくことを期待しています。
観光産業においても相乗効果が生まれました。旧島田市の観光資源である蓬萊橋・川越遺跡・島田大祭などと、旧金谷町の大井川鐵道・旧東海道石畳・金谷茶まつり・牧之原台地の絶景などが一体的にPRできることで、国内外からの観光客の誘致を狙えるようになりました。特に、大井川鐵道の「きかんしゃトーマス号」の運行や「KADODE OOIGAWA(カドデオオイイガワ)」の開業は、この地域に更なる魅力を生み、今後の戦略で大井川流域を観光で稼げる地域へと変えていく可能性を大いに秘めています。
次に、都市計画の観点からインフラ整備も進められました。大井川を挟んだ二つの自治体が一つになったことで、橋梁(きょうりょう)の維持管理や道路網の整備が統合的に進められ、交通の利便性が向上しました。特に、島田・金谷エリアを結ぶ道路網の改良(国道1号バイパス4車線化、菊川ICフルインター化、国道473号倉沢ICから菊川ICまでの開通・地蔵峠のバイパス化、二軒家牛尾線の整備など)が進み、渋滞緩和により走行する車の定時性が確保されたことで、県内でも有数の交通結節点として地域経済活動に寄与しています。また、新東名高速道路の開通に伴い、島田金谷ICが整備されたことで県内外とのアクセスが格段に向上しました。
■住民生活の利便性向上と安全・安心なまちづくり
さらに、行政効率の向上により、広域的な視点での行政運営が可能になり、消防の広域化や福祉・教育・防災など、多方面でのサービス向上が実現しました。例えば、福祉の面では、医療や介護サービス基盤とネットワークが強化され、特に、高齢者支援の充実が図られました。また、市内に点在する公共施設の統廃合や複合化が進み、金谷地区生活交流拠点施設「かなうぇる」ができるなど、特に、住民サービスの効率化と利便性の向上が実現しました。教育分野においては「夢育・知育」に基づいた特色のある教育活動などを広域で展開することができるようになり、子どもたちにとってより良い学びの場や機会の創出に寄与しています。
旧島田市も旧金谷町も東海道の宿場町であり、大井川という大河を挟んでいることから、洪水対策や防災施策が長年の課題となっていました。合併後、防災計画が一元化され、市全体での防災体制が強化されました。ハザードマップの更新や避難所の整備、防災訓練の実施が進められ、市民の防災意識も高まっています。
新型コロナウイルスの感染拡大時には、統合された市の危機管理体制のもと、迅速な情報発信やワクチン接種の円滑な実施が実現しました。合併による行政の一元化が、危機対応力の向上にもつながっています。
■未来に向けた新たな挑戦
次なる10年、20年をどのように歩んでいくかが今後の重要な課題となります。人口減少・少子高齢化が急激に進むなか、さらなる地域振興策が欠かせません。大井川流域の豊かな自然を活かした観光施策の推進や、茶業の高付加価値化や有機農業への転換を図ることで、地域経済の活性化を目指します。さらに、子育て支援の充実や、教育環境の整備を進めることで、定住人口の増加やUターン促進を積極的に図ってまいります。持続可能なまちづくりの観点では、環境保全や再生エネルギーの活用、新モビリティによる移動手段の確保など、新たな挑戦もすでに始まっています。
合併20周年を迎えたいま、改めて大井川を越えて一つになった意味を再確認し、島田市のさらなる発展に向けて「島田は一つ」を再認識したいと思います。
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