くらし こんにちは、市長です

■日本の面影
25百万人を超える入場者で賑わった大阪万博が先月閉幕した。大屋根リングの中に世界各国のパビリオンが立ち並び、AIなどの先進的な科学技術や各地の多種多彩な風土や文化に触れ多くの人々が感動したと聞く。
さて、この秋から朝ドラ「ばけばけ」が始まった。その効果だろうか、登場人物のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が著した「日本の面影」が今再び人気らしい。
40年ほど前にも山田太一脚本による「日本の面影」という同名のドラマがあった。そこには、朝日に柏手を打ったり、雨乞いのため太鼓を打ち鳴らしたりする日本の人々や風景に深く感動するハーンや、古い伝説、怪談をハーンに語る妻セツが生き生きと描かれている。
当時の日本は、強国の植民地政策への対抗や目の前の貧困からの脱却を目指して近代化を急いでいたことから、古くからの風習や怪談みたいな非科学的なことを言っているヒマなどないと考える知識人たちも登場して、その対比が非常に興味深い。
後日の対談の中で山田太一氏はこう言っている。
たとえば愛する人が死の床にいる時、医学的にだめと診断されたらもう仕方ないと無力感に閉ざされ祈るすべも知らない現代人と、必死に祈れば生を呼び戻すことができると信じていた人達とどちらが幸福だろうかと。
大阪万博のマスコットは「ミャクミャク」だ。その名前のとおり、私たちは多くのことを(意識するしないに関わらず)脈々と受け継いできたし、これからも未来につなげる責務があると思う。
そして、それこそがまさに「グローカルシティ」の中核をなすテーマなのだ。
今、グローバリズムの果実である科学技術を排除することは適当ではない。と同時に、古くからの地域の伝承など非科学的なことを切り捨てるのは現代人の傲慢とならないだろうか。
だから、それらの両面を大切にしてまちづくりを進めていきたいと思うのです。