文化 文化財通信 その242

■明治日本の産業革命遺産
~三池~
8県11市にまたがる8エリア23資産からなる「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」から、エリア7「三池(みいけ)」を紹介します。三池エリアには、「三角西(みすみにし)港」「三池炭鉱・三池港」の2資産が所在しています。
時代的には明治初期からの「西洋技術の直接的導入」および20世紀初頭の「産業化の完成」まで。産業分野としては「石炭産業」に分類されます。熊本県宇城(うき)市にある「三角西港」は、明治政府が「三池炭鉱」の積み出し港として築いたもので、オランダ人水理工師の設計に基づいて作られました。
「三池炭鉱」には、「宮原(みやのはら)坑」「万田(まんだ)坑」が含まれ、石炭や資材の運搬のため、三池港へと敷設された「専用鉄道敷跡」や、積み出し港として整備された「三池港」とともに、明治日本の石炭産業の一つの到達点として、その姿を今に伝えています。
「宮原坑」は福岡県大牟田(おおむた)市に、「万田坑」は熊本県荒尾(あらお)市にありますが、いずれも三池炭鉱の坑口の一つです。どちらにも、石炭採掘のための竪坑櫓(たてこうやぐら)や、関連の建物、機械類が残されており、日本の基幹産業として栄えていた当時の様子がうかがえます。
明治41(1908)年に開港した「三池港」は、接岸した大型船に大量の石炭を効率的に積み込むことができるよう、最先端の技術を用いて築かれました。大型船入港のため、長く延びた防砂堤と干満差による水位調節のための巨大な閘門(こうもん)を備えた港は、上空から見下ろすと、まるで長いくちばしを持つハチドリ(ハミングバード)のようです。英国で作られた鋼鉄製の閘門は、今なお現役で稼働しています。

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