- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県森町
- 広報紙名 : 広報もりまち 令和7年6月号
■帯状疱疹予防接種について
帯状疱疹の予防接種が今年4月から定期接種となりました
帯状疱疹の現状をお伝えしたく、筆を執りました。今号より、5ヶ月連載で情報をお伝えします。
〜公立森町病院 予防接種外来担当 水野義仁〜
□帯状疱疹にかかる人は増えている?
麻しんや風しんは罹(かか)った人全員が届出の対象となっているため、届出のあった患者さんの人数が、ほぼ日本での患者数となりますが、帯状疱疹は届出の対象となっていないため、患者さんの数を把握することが困難です。皮膚に発疹ができるので、皮膚科に受診することが多いのですが、皮膚科の先生方にお伺いすると、口をそろえたように「増えている。特に若い人が目立つ」というお返事です。
日本で行われた帯状疱疹に関する大規模な臨床研究が2つ知られています。その1つが、宮崎県内の皮膚科の先生方が協力して、1997年から2017年まで診療した帯状疱疹の患者さんのデータをまとめた研究成果があります。『宮崎スタディ』と呼ばれています。
出典:帯状疱疹大規模疫学調査「宮崎スタディ(1997-2017)」アップデート IASR39:139-141,2018
1997年の発症率を1として各年の発症率を計算したグラフです。各年代共に増加しているのが分かると思います。全年代では20年間で1.7倍となっています。宮崎県で起きていることは森町でも同様と推定されます。
増えている要因がいくつか解っています。今が頭打ちという訳ではなく、これからも間違いなく、帯状疱疹は増えていきます。(要因については紙面の都合で次回となります)
□80歳までに3人に1人が帯状疱疹にかかるって本当?
新聞やテレビが報道しているので、ご存じの方もいらっしゃると思います。かなり衝撃的な数字です。しかし、適当に掲げた数値でもなく、盛った数字でもありません。『宮崎スタディ』のデータをまとめた結果の数字です。『80歳までに3人に1人』・・は科学的データに基づいた数値です。
『宮崎スタディ』は1997年から2017年まで20年間のデータの蓄積です。年平均で約4,700人の帯状疱疹の患者さんのデータです。20年で約9万4千人となります。とんでもない数字です。こんなに帯状疱疹にかかる人がいるということです。(宮崎県の人口は110万人余です。ちなみに静岡県の人口は約350万人です。県内では年間1万5千人の人たちが罹患していることになります。)
つづく。
問合せ:公立森町病院
【電話】85-2181