文化 碧南の歴史へのいざない

No.117 庁舎タイムスリップ(3)棚尾町役場
棚尾町は大正十三年(一九二四)に棚尾村が町制施行して誕生しました。近代の棚尾村役場は字加須(あざかす)(現在の源氏町四丁目)にありましたが、道路拡幅の為に、翌大正十四年(一九二五)に字善明(あざぜんめい)(春日町一丁目・汐田町二丁目、現在の棚尾公民館の位置)へ移転しました。
その後、役場の情報を掲示するために、高札舎(こうさつしゃ)を設けました。役場庁舎はその後、昭和五十二年(一九七七)に取り壊されますが、高札舎は道路拡幅により向きを変えて、今も棚尾公民館敷地内に残っています。
当室には、棚尾公民館の利用に関する興味深い資料があります。昭和三十二年(一九五七)発行の『碧南市棚尾公民館結婚式御案内』です。これには、事前準備や式当日の流れなどが細かく記されています。
公民館で結婚式が行われたのは、社交儀礼の簡略化や節約など生活改善運動の推進が背景にありました。従来の結婚式は、自宅や料亭で行うのが一般的でしたが、ことわざに「娘三人あれば、身代(しんだい)が潰れる」といわれたほど、嫁入りには莫大な費用がかかり、結納品や事前準備などが大きな負担となっていました。
なお、棚尾公民館での結婚式は昭和三十八年(一九六三)に市民会館(現在の文化会館の位置)が建設された際に、その機能も移されました。

問合せ:文化財課内市史資料調査室
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