文化 《歴史特集》縄文時代のくらしと自然 -海・山の恵み-(2).txt

■地域のつながり
それぞれの地域で自然環境に適応して暮らしていた縄文時代の人々ですが、地域同士がつながりをもって暮らしていました。
渥美半島の保美貝塚(田原市)では、太平洋岸に打ち上げられるベンケイガイやサトウガイなどを素材にした貝輪(貝殻をリング状にくりぬいた装飾品、P10、図5)やその未成品、製作に関わる石器が大量に出土しました。貝輪を特産品として製作し、周辺地域や山間部との交換・交流に用いていたと考えられています。・・山間部に目を向けると、長野県の八ヶ岳西南麓の和田峠産の黒曜石や岐阜県下呂市の湯ヶ峰産の下呂石、奈良県と大阪府の間にある二上山産のサヌカイト(P10、図6)など、良質な石材(石器の素材となる石)の原産地があり、そこで採取された石材やその石材で作られた石器が三河湾沿岸部の多くの遺跡で出土しています。
装飾品に用いられることで知られるヒスイ(P10、図7)は日本海側の姫川流域で採取されたものが、山間部を経由して三河湾沿岸部まで運ばれています。
これらのことから、沿岸部と山間部それぞれの地域内や両地域の間では、さまざまな人や物資、情報が行き来し、経済的・文化的な面での交流が盛んに行われていたと考えられています。

■縄文時代に思いをはせる
どちらの地域でも、縄文時代の人々は長い年月の中で培った知識や経験を生かし、資源を枯渇させないため自然環境に過度な負荷を与えないように暮らしていたと思われます。また、多様な特産品の流通の痕跡からは集団同士のつながりを大切にしていた社会だったと考えられ、そこには「自然や他者を敬いともに生きていこう」という意識が見て取れます。
世界的にみても、高度な狩猟採集社会として豊かな文化を育みながら存続した縄文時代の特徴がそこにあります。
自然環境を大きく変えてしまう力を手に入れた現代の私たち。持続可能な社会を目指すため、縄文時代の人々の生き方に思いをはせながら、あらためて身の回りの自然に目を向けてみませんか。
歴史博物館2階の歴史ひろば(常設展・無料)では、市内の遺跡から出土した縄文時代の土器や石器の展示や、当時の暮らしをパネルで紹介しています。

開館時間:9時~17時
休館日…月曜(祝日の場合翌日)、祝日の翌日、12月29日~1月3日

◆[Topic] 歴史博物館 令和7年度 秋期企画展のご案内
▽海の縄文 山の縄文 ―自然と共生した豊かなくらし―
縄文時代をテーマに企画展を開催します。
日時:10月4日(土)~11月16日(日)

※詳しくは本紙10ページまたはPDF版をご覧ください。

問合せ:歴史博物館
【電話】63-6100