健康 ~小牧市民病院より~健康通信

■前立腺がんの放射線治療
放射線治療科 医師 小崎 桂

◆前立腺がんについて
現在、日本人の男性が一番かかりやすい「がん」は何かご存じでしょうか?2020年の男性のがん罹患数は前立腺がんが約9万人(約16%)で最も多くなっています。(※1)その一方で、前立腺がんによる死亡数は約1.5万人で6位(※2)です。前立腺がんの5年生存率は、そのステージ毎に異なるとはいえ、平均しても98.4%となり、他のがんに比べて生存率は高いです。つまり、前立腺がんと診断された患者さんにとっては、他のがんに比べて長いお付き合いとなります。治療法もさまざま開発されており、患者さんの選択肢も多岐に渡ります。今回は当院で行われている前立腺がんの治療法の一つである、放射線治療について解説します。

◇強度変調放射線治療(IMRT)について
当院では2023年1月より前立腺がんに対する強度変調放射線治療(以下IMRT)を開始しました。IMRTは腫瘍の形状に沿って放射線を当てることができ、腫瘍の周囲の大事な臓器への被曝を抑えることができる照射方法です。例えば、前立腺は膀胱と直腸の間に挟まれた臓器です。(図 本紙参照)前立腺がんを治療するには比較的多めの線量が必要なのですが、その線量を投与すると、周りの膀胱や直腸に深刻なダメージを与えてしまいます。そのため、IMRTが可能となるまでは、前立腺がんを治すためには手術しか選択肢がなく、放射線治療は手術ができない方に2番手以下で勧められるといった程度のものでした。現在はIMRTが行えるようになったので、前立腺に十分な線量を投与しながら周りの膀胱や直腸の線量も抑えることができるようになり、前立腺がんの根治治療として放射線治療も選択できるようになりました。

◇患者さんの負担軽減について
2025年1月から前立腺がんの治療回数を28回から20回に変更しました。放射線治療は平日毎日週5日通院する必要があるため、8回治療の回数が減ると1.5~2週間病院に来る期間が短くなります。放射線治療は身体への負担が少ない治療ではありますが、毎日の通院が必要なので照射回数が少なくなるのは患者さんにとっても嬉しいことですね。
(注…腫瘍の状態や化学療法を併用する場合は、入院で照射することもあります)
今後もより患者さんが安心して、かつ利用しやすいよう、放射線治療科一同いろいろ工夫していきたいと思います。

[参考文献]
(※1)令和2年全国がん登録罹患数・率報告…厚生労働省
(※2)令和5年人口動態統計(確定数)…厚生労働省

図 男性骨盤
(断面図…側面)
赤矢印:前立腺
青矢印:膀胱
緑矢印:直腸
※詳しくは本紙をご覧ください。

問合先:市民病院
【電話】76-4131