- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県大府市
- 広報紙名 : 広報おおぶ 2025年3月1日号
「お笑い芸人に俺はなる」。そう誓っていた少年が大人になり、2024年11月に開催された漫才コンテスト「OBU-1グランプリ2024withメディアス」(以下OBU1)の決勝舞台に立ち、会場を笑いの渦に巻き込みました。吉本興業所属の芸人「フロッグロック」のツッコミ担当・田中裕人さん(市出身・29歳)。今回で2回目の出場となったOBU1で、初めて決勝進出を果たします。「地元でここまで本格的な賞レースが開催されるなんて夢にも思いませんでした。結果は7位でしたが、憧れの芸人さんの前でネタを披露できたことは大きな収穫です」と振り返ります。
田中さんが芸人を目指したのは中学生の頃。当時、空前のドラマブームの中、ひたすらお笑い番組を見て育ち、漠然と芸人に興味があった田中さんですが、中学生の時に見た日本一の漫才師を決める大会「M-1グランプリ」で衝撃を受けます。しゃべりだけで大勢の人を魅了する漫才師の姿に「かっこよすぎる。目指すしかないじゃん」と心を決めます。大学卒業後、養成所に入ってネタ作りなどの基礎を学びましたが、デビュー目前に方向性の違いにより、当時結成していた相方と解散。次の相方を探していた時、現在の相方・かおるさんと出会います。「背が低くてわんぱくな人を探していたからドンピシャでした」と田中さんから声を掛けて、フロッグロックを結成。
しかし、いざデビューとなった20年、コロナ禍が二人を襲います。漫才を披露する場所が一切なく、思っていたデビューを果たせず精神的に苦しかった当時を「とことんネタと向き合う時間にしました。お客さんの前で早く披露したいとアドレナリンが出ていたので何とか耐えられましたね」と笑いながら振り返ります。
現在は月6回ほど舞台に立つ田中さん。ネタは田中さんが設定を考え、相方の共感が得られたら中身を詰めていくスタイル。「面白くないと思われたくないから、毎回緊張しながら提案しています。一週間必死で考えてきたことを悟られないよう、今思いついた感じで言うこともあります」と笑う田中さん。芸歴5年目以下のコンビ3千組が出場した賞レース「アンダーファイブ」でも準決勝まで勝ち進むなど評価されつつありますが、芸歴6年目を迎えた今、「良くも悪くも成果に浮き沈みがなくここまで来てしまいました。ネタの方向性などを初めて真剣に相方と話し合ったので、ここからフロッグロックのセカンドシーズン幕開けです」と決意を新たにします。
「漫才の魅力は、マイク1本の道具と、自分の発想としゃべりだけで勝負するところ。とにかく多くの人を笑わしたいです。そしていつか、大府市に直接笑いを届けに来られるようになりたい」と目を輝かせます。夢を追いかけて、挑戦し続ける田中さん。漫才一筋を貫くその姿は、幼い頃に田中さんが惹かれた「かっこいい」そのもの。これからもその熱い情熱を笑いに変えて人々を魅了し続けます。