- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県大府市
- 広報紙名 : 広報おおぶ 2025年8月1日号
■アダムとハウンのインターナショナルリレーコラム
日本最初の国際的博覧会
Adam Simmonds
博覧会といえば、現在開催中の大阪・関西万博、2005年の愛・地球博や1970年の大阪万博が思い浮かびます。ですが、日本で最初の国際的博覧会がここ愛知で開催されたことを知り驚きました。
それが、1937年、名古屋港の北方地帯で開かれた「名古屋汎(はん)太平洋平和博覧会」です。開催期間は3月15日から5月31日までの78日間。総入場者数は約480万人に上りました(当時、愛知県の人口は298万人でした)。
当時の参加国29カ国によるパビリオンや、産業・技術の発展を紹介する企業のテーマパビリオンは万博でもおなじみの風景でした。一方で、戦車などが展示された「国防航空館」のように、今では考えられないようなアトラクションも存在し、当時の緊迫感がにじみ出ていました。博覧会名の「平和」はきっと多くの人が念願していたからでしょう。
ところが、閉会から37日後、7月7日に日中戦争が勃発し、後に太平洋戦争へと拡大してしまいました。
名古屋市港区役所の西側の江川線にある「平和橋」は、この平和博覧会の唯一の現存建造物です。橋のアール・デコ調の装飾をもつ親柱は、博覧会のシンボルだった「平和の塔」のデザインに合わせたもので、当時の会場の雰囲気を想像させてくれる手掛かりです。