くらし 9月9日は救急の日 命と向き合う現場で

消防士は、火災や交通事故、災害現場などに急行し、火災の消火や人命救助にあたります。消防士の中でも救急車で駆けつけ、応急処置や病院への搬送を行うのが救急隊員で、その中でも特別な処置を行える資格を持つのが救急救命士です。
田原市消防本部では、113人の消防職員のうち30人が、救急救命士として現場で活動しています。救急救命士は、命の危機に瀕した人に対して最前線で対応する、専門性の高い医療職です。市内には救急車が5台配備されており、すべての出動に救急救命士が同乗できる体制が整えられています。
消防隊の一員として緊急現場に駆けつけ、人命をつなぐ救急救命士たち。高度な医療技術と冷静な判断力で、多くの命を支える彼らの視点から、救急の最前線に迫ります。

渥美分署 救急救命士 辻 伸子
〔救命士歴〕2008年4月~
救命士の指導・育成も担当している

○救急救命士だけができること
静脈路確保のための輸液や気管チューブなどを使った気道確保、アドレナリンを用いた薬剤投与、血糖測定とブドウ糖溶液の投与など、医師の指示を受けて救急救命処置ができます。

○救急救命士として心掛けていること
救急隊は、病院到着までの限られた時間で情報を得て、容態が悪化しないように必要な処置を行い、症状に合わせた治療ができる医療機関を選定し搬送しています。救急現場は、チームワークが大切なため、日頃から救急隊ごとに訓練し、適切な救急活動ができるよう備えています。

○救急救命士としてのやりがい
人の命にかかわる仕事なので、人の死に直面することもありますが、私たちの救命処置で容態が回復し、後遺症もなく社会復帰した姿を見かけた時は、本当に嬉しく、やりがいを感じます。

○救急車を呼ぶときには
救急車が必要なときは、不安なことが多いかもしれません。気になることは、どうぞ遠慮なく救急隊員に伝えてください。
また、いざという時に役立つ救命の知識を身につけることも大切です。消防署の救命講習で、ケガや病気の応急手当を学べます。ぜひご参加ください。

■本当に必要な方へ救急車が到着できるように
全国的に救急出動件数は増加し続けており、田原市でもコロナ禍以降ずっと増え続けています。

○救急搬送の約半数が軽症
最近では、緊急性がないにもかかわらず救急車を呼ぶケースが増えています。
実際に、昨年救急車で搬送された方のうち、約47%が医師によって「軽症」と診断されました。

○救急車の適正利用のためにできること
・体調が気になるときは、早めに医療機関を受診しましょう。
・持病がある方は、体調が悪くなったときの対応を、かかりつけ医に相談しておきましょう。
・健康診断や定期検診など、日ごろの受診も忘れずに行いましょう。

救急車の台数が限られているため、出動が多くなると、119番通報から現場に着くまでに時間がかかってしまい、大切な命にすぐに助けが届かないこともあります。本当に必要な時に、必要な人が救急車を使えるよう、みなさまのご理解とご協力をお願いします。

○過去5年間の救急件数

救急件数は過去最高を更新中!

■救急の日と救急医療週間
救急の日にちなんだイベント「きゅうきゅう広場」を開催します!詳しくは、本紙31ページの「消防かわら版」をご覧ください。