くらし 次代を担う三重人(みえびと)たち

三重の未来を切り拓(ひら)く人の挑戦を紹介します!
自分たちがかがやけば、地域もかがやく

■燃やさず、埋め立てず、プラごみを社会に戻す!
株式会社REMARE(リマーレ)/鳥羽市
代表取締役 間瀬 雅介(ませ ただすけ)さん
株式会社REMAREは、廃プラスチックを熱で溶かしてプレスし、木材の代替品となる板材への再資源化や商品開発を行っています。愛知県出身で、前職では航海士として南極の海洋調査をしていました。航海中は、インターネットが使えないので、自由時間は船内にある鉄くずを溶かしてものづくりをするなど、自分たちで「楽しみ」をつくり出して過ごしていました。フィリピン海沖で海洋プラスチックごみがすごくたくさん浮いているのを目にして、鉄くずに代わる「素材」としてものづくりに使いたいと思ったのと同時に、仕入れ原価0円で何か事業化ができるんじゃないかと思い、株式会社REMAREを立ち上げました。
漂流する海洋プラスチックごみの中でも、ロープやブイなど、養殖漁業関係のごみが多いというデータがあったので、海洋プラスチックごみが集まる各地域で、漁師さんに事業のプレゼンをしました。ようやく鳥羽の漁師さんたちに受け入れてもらうことができ、牡蠣養殖のお手伝いをしながら養殖漁業のことも勉強し、鳥羽を拠点に活動を始めました。

■こんなことに取り組んでいます!
▽廃プラスチックから新たな価値を創出
100%再生プラスチックを樹脂業界に戻すのではなく、内装材や家具などに使用することで、資源循環に取り組んでいます。素材開発の要望などにも対応していて、現在は建築設計事務所や家具メーカー、空間デザイン会社などとも取り引きがあり、商業施設やオフィスの内装にも使用されています。
事業を進めるうえで、一つの業界だけを深掘りするのではなく、「本来この素材がどうあるべきなのか」という「未来」まで考えて、産業を逆算して構築し、それを自分一人できちんと回せるくらいの知識量と行動力が大事だと思うんです。だから、素材とか物流の知識や経験、使用する機械の構造、建築、空間デザインのことなど幅広く理解することも大切にしています。単純にものづくりが好きなので、ごみでしかなかったものにデザインを付与して商品を開発し、それが市場に出て、実際に使用されているのを見たときに面白さ・やりがいを感じますね。
今年は子どもから大人まで楽しみながらリサイクルを学べるワークショップを再開する予定です。海岸で拾ってきた廃棄物を洗浄、プレス加工し、キーホルダーやランプシェードなどをつくります。実際に素材を触ってみて、素材の入口から出口までを一貫して体験することで、どういう特性があるのか、ごみをごみとして捉えるのではなく、価値のあるものと感じてもらうきっかけになればいいなと思っています。また、漁具の他にも焼却・埋め立て以外の処理が難しいプラスチックを企業から回収・再資源化するための工場を今年6月に新設予定です。短期的な目標は、プラスチックをもう一度石油に戻して、船のエンジン燃料に変えること。地球上のプラスチックの資源循環の構築をめざし、さまざまな分野でチャレンジしていきたいです。