しごと きらり四日市人 Vol.146

■技能五輪全国大会 和裁部門で金賞受賞
和裁士 諸岡美有(みゆ)さん

若い職人の腕を競う「技能五輪全国大会」が昨秋、愛知県で開催され、「東亜和裁四日市支部」(浜田町)で指導員を務める諸岡美有さんが、和裁部門の最優秀に当たる金賞を受賞しました。
ひと針ひと針縫い進めていくと、徐々に着物の形が浮かび上がる和裁。諸岡さんは、反物(たんもの)に愛情と時間を注いで着物を仕立てます。その魅力や受賞の喜びをお聞きしました。

▽技能五輪最後の挑戦で「金」を受賞
3種類の生地を縫い合わせ、女物の「袷(あわせ)長着」を2日間、計9時間の日程で仕立てます。寸法の正確さや左右対称であるか、表地と裏地のつり合い、真っすぐ縫えているかなどが審査され出来栄えを競います。
技能五輪の出場資格は基本的に23歳以下ですが、和裁部門だけは24歳以下とされています。私は2021年から出場し、2022年、2023年の2回は銀賞でした。今回は最後の挑戦となったので周りの期待もあり、金賞を取ろうと臨みました。
途中、着物を汚してしまうアクシデントもありましたが何とかリカバリーでき、高い評価をいただけたので、うれしく思っています。

▽ひと針ずつ縫い進める手縫いの奥深さ
こどもの頃から布を使った小物作りが好きでした。和裁士を目指したのは、服飾学科を選択した高校時代に浴衣を縫う機会があり「ミシンで縫うのではなく、手縫いが自分に合っている」と感じたからです。着物は、ほとんどが直線縫いでシンプルな仕立てですが、1枚の布を裁断し、布とじっくり向き合い、ひと針ずつ縫い進めていく作業に奥深さを感じています。また、祖父が昔、反物を扱う仕事をしていたので、幼い頃から着物が身近にあったことも影響を受けているかもしれません。

▽将来は「打掛(うちかけ)」作りに挑戦したい
今後は技術をステップアップさせ、技能検定1級以上の人を対象にした大会への出場を目指しています。さらに、結婚式で着る「打掛」作りにも挑戦しようと思っています。裾に綿を入れる技術が必要なので難しいと思いますが、先輩方に教わって伝統衣装である和服の文化を継承していきたいです。
最近は、今風にアレンジした個性的な着物の装いがSNSで発信されていて、若い人にも人気が出ているようです。着物をおしゃれの一つとして気軽に楽しんでもらえたらと思います。

5月放送のCTY-FM「よっかいち わいわい人探訪!」でも紹介します。(放送時間は裏表紙へ)