健康 お答えします! 健康に関する素朴な疑問 健康なんでも相談室

市民の皆さんの健康などに関する素朴な質問に対し、谷崎医師が「総合診療科」の観点から、分かりやすくお答えします。ぜひ、皆さんの生活にお役立てください。
伊勢総合病院
内科・総合診療科副部長
谷崎 隆太郎 医師

質問:最近のコロナってどうなったんでしょうか?もう消えた?
回答:残念ながら消えておらず、その辺にいます

■コロナは今も身近に!
新型コロナウイルス感染症(通称:新型コロナ)って、最近ニュースでもあまり聞かなくなったし、なんか、もう世の中から消え去ったような気がしていませんか?
残念ながら世間で騒がれなくなっただけで、新型コロナの発生がゼロにはなったことはなく、定期的に全国的な流行を繰り返しています。この傾向は三重県でも同様で、夏休みや冬休みなど、人の移動や接触が増える時期に一致して発生数が増えています(図1)。

■最近のコロナ事情
とはいえ、以前のデルタ株と比べると、今の株はだいぶ重症化リスクは下がり、新型コロナで人がバタバタ死んでいくというイメージは確かにもうありません。ただし、高齢者や持病がある人にとっては、いまだに脅威です。新型コロナで入院して退院した人は、インフルエンザで入院して退院した人と比べて、退院後半年以内の死亡リスクが約2倍も高かったとの報告や*1)、死亡しないまでも新型コロナに感染した後には心血管系の病気(心筋炎、心不全、不整脈など)を起こすリスクが上がるとの報告があります*2)。加えて、他の感染症と違って日常生活に支障をきたすほどの後遺症が起きうることが、新型コロナのとにかく嫌なところです。やはり新型コロナは、間違いなく感染したくない感染症の一つなのです。
社会的なインパクトも大きく、新型コロナが流行して感染者が増加すると、感染により動けなくなったり食べられなくなったりする人も増え、その結果、救急医療や入院病床が逼迫(ひっぱく)するといった問題がずっと繰り返されています。

■対策は流行状況に合わせて
感染予防にはマスク装着や3密の回避が、重症化予防にはワクチン接種が有効であることが知られていますが、一方でこれらの対策を世の中のすべての人が完璧に行うのは難しいという現実もあるかと思います。感染対策を厳格にし過ぎると日常の社会活動の維持が困難になることは皆さんが経験してきた通りですので、ここはバランスが大切です。
厚労省や三重県のウェブサイトで現在の流行状況がチェックできますので、新型コロナの最流行期には「人が密集する場所になるべく近づかない」「いつも以上にマスク装着の頻度を増やす」といった、流行状況に合わせた感染対策が、個人にとっても社会にとっても現実的な落とし所なのかもしれません。

図1:三重県内新型コロナウイルス感染症
【URL】https://www.pref.mie.lg.jp/YAKUMUS/HP/m0068000191.htm

*1) BMJ 2023; 382: e076222.
*2) JAMA Health Forum 2023; 4: e230010.

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