子育て 特集(1) 中学校給食の事業着手を当面延伸(1)

■中学校給食の事業着手を当面の間、延伸します

今は、市立病院の経営安定化を図り、市民の命と健康を守ることを何より優先すべきと判断しました
名張市長 北川裕之

◇延伸に至った経緯
市は、昨年11月に策定した「行財政改革プラン」に基づき、職員一丸となって、財政健全化の取組を進めています。令和7年度当初予算では、財源不足を約5・2億円縮減できました。
一方で、市立病院が現在策定中の「中期計画」や直近の経営状況を踏まえて精査を行ったところ、これまでの見込みを上回る市の一般会計からの繰出金の増額が必要となり、市の行財政運営に多大な影響を及ぼすことが明らかになってきました。
市立病院が、良質で安全な医療を提供し、地域の医療機関と連携しながら市民の命と健康を守るという使命を果たしていくために、市は、一般会計から追加の財政支援を行っていく必要があると考えています。
また、中学校給食の導入に向けて、昨年11月以降、手法や財源確保に向けた検討を重ねてきましたが、費用の大きな削減には至りませんでした。
加えて、米国の追加関税措置や経済状況の変動による税収への影響、人件費や物価・エネルギー価格の高騰など、不安定な要素が多く存在するため、現時点において今後の財政状況の見通しが不透明な状況にあります。
こうした状況の中、市の中期財政計画(令和6年度ローリング版)の時点修正を行った上で、今後の主要施策の方向性を検討・整理しました。その結果、市立病院の経営安定化を図り、市民の命と健康を守ることを何よりも優先すべきと判断し、中学校給食の事業着手を当面の間、延伸することを決断しました。

◇中学校給食は必ず実現
中学校給食は、私の公約の一つであるとともに保護者や市民の皆さんからも大きな期待を寄せていただいています。事業着手の延伸は、まさに断腸の思いですが、中学校給食を必ず実現させたいと考えています。
また、市立病院が持続的・安定的に地域医療を提供し続けることのできる経営基盤の確立を図っていくとともに、「行財政改革プラン」の取組を着実に実行しながら、この困難な状況を乗り切っていく決意です。
中学校給食に事業着手する時期は、市立病院の「中期計画」による経営改革の取組効果が表れ、改善の道筋が見えた段階で、改めて総合的に判断します。
今後も、伊賀南部クリーンセンターの機器更新をはじめとする工事手法の見直しや事業精査のほか、行政組織のスリム化、新たな財源の確保、事務事業や公共施設の見直しを進めていきます。加えて、人口減少社会を見据えて、従来の枠組みを超えた広域連携や公民連携などに取り組み、財政危機からの早期脱却を目指すとともに、持続可能な行財政基盤を着実に構築していきます。
引き続き、職員一丸となって抜本的・集中的に改革を進め、人口減少社会に立ち向かうフロントランナーとして果敢にチャレンジし、どこよりも早く人口減少社会に対応した、未来に選ばれるまちを目指していきます。

■Q1 中学校給食は実現するの?
早期実現に向けて、様々な手法を模索

○平成28年3月
中学校昼食のあり方検討委員会(平成27年5月設置)が、「中学校給食が望ましい」とする意見書を提出
○令和4年6月
北川市長が、市議会で令和9年度中を目途に中学校給食を開始すると答弁
○令和5年2月
基本構想を作成。給食の実施方式について「センター方式」と自校調理方式との2方式を検討することに。同年3月から、「民間活力等導入可能性調査」を実施
○令和5年8月
全員喫食の早期実現などを総合的に判断し、「センター方式」の採用を決定。建設候補地の第1候補地を青蓮寺のテニスコートとゲートボール場とする。
○令和6年2月
調査報告書を踏まえ、中学校給食センターを官民連携で整備することに(PFI方式)。また、建設予定地を第1候補地である青蓮寺に決定。併せて基本計画を策定する。
○令和6年11月
市の財政状況などを踏まえ、改めて事業費の精査や検証を行い、令和7年6月を目途に方向性を示すこととした。
○令和7年5月
市議会全員協議会で中学校給食の事業着手延伸を報告

◇中学校給食実現に向けた動き
現在、市内中学校の昼食は、家庭からの弁当を基本とし、注文弁当販売も実施しています。
「中学校給食の導入が望ましい」とする意見書が提出されたのは平成28年3月のこと。意見書は、保護者や学識経験者などで構成される「中学校昼食のあり方検討委員会」によって、生徒や保護者へのアンケートなども踏まえ、取りまとめられました。
こうした中、市は、「自校方式(学校の給食室で調理)」や「センター方式(給食センターで調理し配送)」などの実施方式や、事業手法などについて検討を重ね、全員喫食の早期実現など総合的に判断し、「センター方式」を採用しました。建設予定地として調理後2時間以内の喫食が可能な青蓮寺地内の公共用地を選定し、昨年2月、基本計画を策定。計画に基づき、中学校給食センターの整備を進め、令和9年度中の中学校給食開始を目指して取り組んできました。
しかし、厳しい財政状況が見込まれる中、昨年11月以降、整備手法や財源確保の見通しを再検討しましたが、大きな経費削減は見込めず、かつ、市立病院の経営改善が急務となってきたため、事業着手を当面の間、延伸する判断をしました。
市の重要施策である中学校給食の早期実現に向けて、少子化や物価高騰なども考慮しつつ、引き続き、様々な手法や財源確保策を模索していきます。