- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県尾鷲市
- 広報紙名 : 広報おわせ 令和7年2月号
■ヤブコウジ(サクラソウ科)
冬に赤い実をつける木は多く見られますが、なかでもセンリョウ、マンリョウ、ナンテンは正月の飾り花として使われます。これらの植物に比べ背丈が低くてあまり目立ちませんが、赤い実をつけるヤブコウジも正月の縁起植物として重宝されています。
ヤブコウジは、北海道南部、本州、四国、九州の山地の林内に普通に見られる常緑樹(じょうりょくじゅ)ですが、高さが10~20cm、幹の直径が2~3mmと小形で、まるで草花(くさばな)のように見受けられます。秋に実が赤く熟し、長い間赤い実をつけています。この実がミカンの仲間の柑子(こうじ)に似ていて藪に生育していることから藪柑子の名がついています。
鳥は赤い色に敏感で、緑の葉の中にある赤色の実をめざとく見つけることができます。餌の少ない冬場、ヤブコウジの赤い実は鳥の格好の食料となります。でもただ食べられるだけかというと、そうではありません。ヤブコウジは、色で鳥を引き寄せ、食べられることによって種子を新しい地に運ばせているのです。
ヤブコウジにはセンリョウ(千両)、マンリョウ(万両)に対して、十両という別名があります。ちなみに一両はアリドオシ、百両はカラタチバナです。