- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県鳥羽市
- 広報紙名 : 広報とば 令和7年8月1日号
8月15日は終戦の日です。今回は戦後80年特集として、鳥羽三丁目(錦町)の河井正明さん(86)に戦争の記憶を聞かせていただきました。
戦没者を追悼するとともに、平和について一緒に考えてみませんか?
■戦時中の記憶
私の父は、昭和20年4月17日に沖縄の伊江島で戦死しました。それは私が4歳のころのことで、父は一度満州から帰国し、祖父母、父母、私の5人で裏庭で家族写真を撮りました。その直後、父は軍の命令で沖縄へと向かいました。
当時私は幼かったため、父との会話などの記憶はありません。私自身の記憶には、B29が志摩半島を何度も飛び交ったことが残っています。夜は電球に幕をして明かりが漏れないようにし、窓ガラスが割れて飛び散らないようにテープで補強していました。飛行機が近づくと、防空壕に避難するため、頭巾をかぶったことを覚えています。
ある日、夢の中で父が胸から血を流している光景を見ました。その夢を母に話すと、母は「正明(私)に(死を)伝えたのか」と言い、私の頬に一粒の雫が落ちた気がしました。きっとあれは母の涙だったのだと思います。そして父は帰らぬ人となりました。
■伊江島へ
平成14年には、沖縄の伊江島に行く機会がありました。私は行けなかったので、母と妻が行き、伊江島のほか三重県出身の戦没者を祀る慰霊塔「三重の塔」などを訪れ、父の好きだったお酒と花束を供えてきました。
■遺族会について
遺族会は、配偶者や長男、孫が引き継いで参加しています。しかし、会員の減少やコロナ禍の影響もあり、追悼式は以前に比べて縮小されています。
追悼式典を続けていきたいと考えていますが、地域では会員の減少や役員のなり手不足が課題となっており、難しいという声もよく聞きます。今後の存続に向けて遺族会のあり方を見直す必要があると感じています。
■次世代へのメッセージ
今年で終戦から80年が経ちます。戦争を直接体験した人が少なくなる中、体験していない人たちにその実情を伝えることは簡単ではありません。次世代に戦争の記憶を風化させず、恒久平和を実現するための活動を続けていきたいと考えています。
戦争はすべてを失います。勝者も敗者もありません。戦争は二度と起こさないようにしたいです。
■展示「原爆と人間展」「鳥羽に見る戦争展」「夏休み読書をしよう!」
期間:8月31日(日)まで
場所:市立図書館展示コーナー原爆と人間展のパネル展示、戦争関係の資料展示、夏休みの読書や自由研究におすすめの本を展示しています。
※また、今回はマリンターミナルでも同期間で特別に展示を行っています。ぜひご覧ください。
問合せ:総務課広報情報係
【電話】25-1114