- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県熊野市
- 広報紙名 : 広報くまの 令和7年5月号 No.236
■熊野灘 衣破れて 春霞
守沢勇海(もりさわいさみ)(飛鳥町)
233人目のペンリレー
私は兵庫県で生まれ育ち、以前は関西でウェブ制作の仕事に就いていました。
元々父の実家が熊野で、その家を守りたいという思いがありましたが、ここ数年はリモートワークが盛んで、大都市でなくてもウェブの仕事が可能になったこともあり、令和5年の夏より熊野市に移り、1年9ヶ月になります。
私はライフワークで、野外で撮影した動植物の写真からウェブ図鑑を作るという活動を行っているのですが、子供の頃から毎年夏に熊野の川や海で泳ぎ、昆虫採集をしたりしてここの自然に親しんでいましたから、移住はある意味必然だったのかもしれません。
ただ、自分の職域は業界ではリモートの仕事を得にくい事もあり、1年は右往左往していましたが、新たなご縁とご親切のお陰で何とか今まで生活を繋ぐ事ができています。
その間は熊野の各地で沢山の野生生物の撮影に奔走できたので、兵庫時代では適わなかった貴重な記録も得て、その素材を使ってラジコン・ロボット・野生生物という異色の組み合わせのイベントに参加した事もありました。
そんな風に現在はウェブで熊野の生き物を紹介する活動を細々と続けていますが、それは世を忍ぶ仮の姿。真の目的は只一つ、究極の唐揚げを創り出す事。
私は無類の唐揚げ好きで、移住前に母から教わったレシピを元に唐揚げ作りを楽しむ日々ですが、紀州と言えば西の地鶏と東の塩。日本広しと言えこの地ほど唐揚げに相応しい土地はないでしょう。唐揚げの街熊野。行く先々で味わうその旨さに舌鼓を打ち、己の未熟さに項垂れるのです。
次は有馬町の川上吉洋さんです。