文化 【めざせ いなべ通】いなべ検定入門197 貴重なものがたくさん いなべの文化財(5)

執筆:ふるさといなべ市の語り部の会

◆光蓮寺の木造薬師如来坐像(大安町)
光蓮寺の木造薬師如来坐像は、昭和54年12月に県の有形文化財に指定されました。優しく慈悲深いまなざしで見つめられているかのように作られています。県への調査報告書では、「螺髪(らほつ)※1細かくよく揃い、肉髻(にくけい)※2高く、顔は円相で温雅。胸薄く、腹は出て、衣文の彫りは浅く流麗。各部の比例もよく整っており、定朝(じょうちょう)※3様式をよく伝える平安時代後期の優作(抜粋)」と、薬師如来像の特徴をあげています。
経年劣化や虫食いなどで、仏像全体の傷みが激しかったため、平成4年の本堂建て替えにあわせて薬師如来像も大改修。京都国立博物館の国宝修理所に預け、1年かけて解体・組み立て修理を行いました。
薬師如来坐像が安置されている笠間山光蓮寺(りゅうけんざんこうれんじ)は、天平(てんぴょう)8(736)年、行基によって建てられた歴史の古い寺です。織田信長の北伊勢攻めで焼失しましたが、江戸時代の初めに臨済宗妙心寺派の寺として再建されました。
※1…小さな渦巻き状の髪型
※2…螺髪の頂部にあるコブのような膨らみ
※3…平安後期の仏師で寄木造りの完成者

〇木造薬師如来坐像(大安町門前)
桧(ひのき)の寄せ木造りで、高さは89.4cm。右手は施無畏印(せむいいん)を結び、左手に薬壺を持つ等身大の薬師如来坐像です。

問合せ:ふるさといなべ市の語り部の会 伊藤忠
【電話】090-3583-2827