文化 伊賀市の文化財 161

■波多岐(はたき)神社本殿 附棟札(つけたりむなふだ)15枚(土橋)
伊賀市土橋にある波多岐神社は、オオササギノミコト(仁徳天皇)を祭神とする神社で、「一の宮」の敢国神社(一之宮)と「二の宮」の小宮神社(服部町)とともに「三の宮」とされており、平安時代の『延喜式』神名帳に「波太伎神社」と記載があります。
本殿は、境内地北側の玉垣内中央北寄りにあり、木造一間社流造(いっけんしゃながれづくり)(正面2.13m、側面1.83m)、屋根は銅板葺(ぶ)きです。神社には本殿に関わる棟札が15枚保管されており、最も古い棟札として慶長9(1604)年銘のものが2枚、続いて明暦2(1656)年や元禄8(1695)年、それ以降の江戸時代のものも残されています。
本殿下部や高欄の部材が平成7(1995)年の修理で新しい材に替えられましたが、柱や梁(はり)、壁板などの主な部材は古材と考えられます。部材の細部を見ると梁には簡素な文様が残り、蟇股(かえるまた)や部材端部の木鼻(きばな)などの部材に見られる彫刻は、部位によって形が異なり、変化に富んでいます。また、部分的に残る彩色からは華麗に装飾された本殿の様子をうかがうことができます。
波多岐神社本殿は、部材に施された絵様や彫刻、棟札などから江戸時代前期の姿を今に伝える神社建築であり、地域の人々と本殿の関わりを伝える附棟札15枚とともに、貴重な文化財として令和7年3月24日に市指定有形文化財(建造物)に指定されました。

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