くらし ペンリレーNo.228

■推しがいるからがんばれる
橋本はるかさん(井田)

私は熊野市の出身で、町内への就職を機に引っ越して15年ほど経ちます。今の職場にきてから1年半。まだ経験不足が否めず、周囲の方に助けてもらってばかりです。それでもできることが増えるのはうれしく、今はのびしろしかないと思って、がんばっていきたいと思っています。
こうして仕事に励めるのも楽しみがあればこそ。一番の楽しみはいわゆる推し活です。好きな歌手のライブやゲームのリアルイベントなどさまざまなイベントに、SNSで仲よくなった友人と合流したり、ひとりで参加したりしています。画面越しではなく、現地で体感する、あの楽しさを一度知ったらやめられません。どよめく会場の一体感、自分と同じものを大好きな人たちがこんなにも大勢いるのだと実感するたびに胸が熱くなります。
しかし、コロナ禍で行けなかったものも多く、中でも2020年、東京ドームでのライブが中止になったことはいまだに悔しい思い出です。抽選結果のメールを待つ緊張感や当選を知った瞬間の喜び、それを家族に報告した興奮も昨日のことのように思い出せます。宿泊先や休みを確保したり、翌日の観光予定を考えたりしていたのですが、その年一番の楽しみが中止するとの連絡がきたときはは悲しみも一番でした。
あのころはさまざまな催しが中止になった分、ネットの配信番組や映画館での生中継などの企画も多く、抽選結果に恵まれずとも楽しめる機会が増えました。それを素直に喜びたい反面、やはり現地で一緒に叫んで、歓声の渦にのまれたいと寂しく思う自分がいました。
制限が少し緩和され発声不可で開催されたライブでは、どうしたら自分の興奮が、感謝の気持ちがステージに届くだろうかと思いながら一生懸命に拍手したことをよく覚えています。
発声が可能になった今では、ライブ後は当然のように声を枯らして帰ってきています。遅れてやってくる筋肉痛には気づかない振りをして、次は何を楽しみにがんばろうかと考えています。

◇PROFILE
はしもとはるかさん
推し活を楽しんでいる橋本さん。「次のイベント抽選で当選できるよう、たくさん徳を積もうと思います(笑)」と話していました。

◎3月号は井田の疇地(あぜち)達也(たつや)さんです。橋本さんからは、「紀宝町では貴重な友人です。感謝してます。これからもよろしくお願いします。」