- 発行日 :
- 自治体名 : 滋賀県守山市
- 広報紙名 : 広報もりやま 令和7年5月1日号
■「すし切りまつり」境内で披露する長刀(なぎなた)振りが大きな自信へ
◆下新川神社(幸津川町) すし切りまつり
ユネスコ無形文化遺産構成要素・国指定無形民俗文化財「近江のケンケト祭り長刀振り」日本遺産「すし切り神事」
すし切りまつりの名で親しまれる祭礼は、「すし切り神事」と、ケンケト祭りとしての「長刀振り」や「かんこの舞」で構成されています。
すし切り神事は約2、000年前、崇神(すじん)天皇の息子である豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)が幸津川を訪れた際にフナの塩漬けを焼いてさしあげたことが起源とされています。5月5日には、かみしも姿の若者2人が、鮒(ふな)ずしを定められた作法にのっとって一糸乱れず切り分けます。
すし切り神事の後には、長刀踊りやささらの音色と共にかんこの舞が行われます。かんこの舞は雄雌の獅子が求愛する様子を表現しており、子孫繁栄を願う踊りです。
▽増田 茂輝(ますだしげき)さん
伝統文化保存会 会長
形骸化していた長刀振りが60年ぶりに復活して3年目。今年も、伝統文化ども教室で練習してきた20人以上の子どもが参加します。
つたない技ですがたくさんの人に見に来てほしい。大きな自信をつけた子どもたちにとって、故郷の祭礼がうれしい思い出になってくれたら、大人になった時も大切に感じてくれると信じています。
・今年、すし切り神事(日本遺産)ですし切りの大役を果たす今井翔愛(いまいとわ)さんと若松尚輝(わかまつなおき)さんは、枇杷(びわ)の葉をフナに見立てて練習を重ねています。
■「豊年踊り」かかわった子どもたちの心と故郷をつなぐ魔法
◆馬路石邉神社(吉身4) 豊年踊り
市指定無形民俗文化財
昭和40年代に一度衰微してしまいましたが、その後、有志の努力により昭和51年に保存会が結成され、復活しました。歌詞や踊りから、元は、中世の田楽踊りの系統と考えられます。現在は毎年、5月4日・5日に奉納されます。現在でも使われている太鼓の胴内に萬治(まんじ)3年の記述が確認されている、歴史ある祭礼です。
踊りは太鼓持ちと太鼓打ちが中央、周りで音頭取りと稚児が輪をつくり、音頭取りの歌詞に合わせて舞い、奉納されます。歌詞は湖南地域で行われるサンヤレと似ていますが、節回しがやや異なります。
▽大林智(おおばやしさとし)さん
馬道石邊神社 宮司
復活したばかりの豊年踊りを見た地域のお年寄りがうれし泣きしていたのを覚えています。今は、豊年踊りに参加していた子どもがお母さんになったり、遠方に出たりした後も帰郷して飛び入り参加してくれることがあります。
子どもの時、市指定文化財の祭礼に関わった思い出はずっと大切に残るもの。その思いが祭りの役割であり、人と人、人と時間をつなぐ魔法です。
・囃子(はやし)や音頭、太鼓打ちに踊り子、舞を奉納する巫女(みこ)まで、子どもたちは本番に向けて神社の社務所や境内でOB・OGを先生役に練習しています。
問合せ:文化財保護課
【電話】582-1156