文化 多賀町立博物館

◆観察会 多賀の花の観察会
毎年4月から11月の毎月第3木曜日に多賀の花の観察会を開催しています。5月の花の観察会を下記の通りにおこないます。春の多賀の花をぜひお楽しみください。
日時:5月15日(木)9:30~12:00
集合場所:あけぼのパーク多賀駐車場(事前申込は不要です)
観察地:高取山
テーマ:朴(ほお)の花咲く高取山
参加費:300円(高取山ふれあい公園入園料200円を含む)
共催:多賀植物観察の会、多賀町教育委員会
※原則、雨天決行です(ただし、警報発令時は中止)。
※動きやすい服装でご参加ください。

◆博物館のこぼれ話
『ヤマトグサが見ごろです』
多賀町立博物館学芸員 大関 佑弥

今年度4月から多賀町立博物館の学芸員として働くことになりました大関です。
寒さの残る春が終わり、生き物達の活動も活発になってきました。樹木の展葉も進み、花を咲かせる草花も多くなってきたかと思います。
今回は、5月の多賀に咲く「ヤマトグサ」を紹介したいと思います。NHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公となった、植物分類学者の牧野富太郎博士が、日本人として世界で初めて命名した植物です。日本を意味する大和の名を冠したアカネ科の草本です。
ヤマトグサは、湿った林床(林の中の地面)に生えます。5月頃に花を咲かせるので、いまごろ多賀町のどこかで花を咲かせていることでしょう。ヤマトグサの花はとても変わった形をしています。くるりと巻いた花被片(かひへん)(花弁のようなもの)の中心に、ひげのような細長い花糸(かし)、そしてその先に棒状の葯(やく)(花粉の入っているところ)がついています。この変わった形は、花粉を風で飛ばすためと考えられており、風が吹くと葯がゆらゆら揺れます。ちなみに、ヤマトグサの花は雄花と雌花に分かれており、目立つのは雄花です。雌花はひっそりとしていて、葉腋(ようえき)(葉の付け根)についています。
そんなヤマトグサですが、絶滅が危惧されており、主な減少要因は人間の土地改変による生育地の減少と、増えすぎたシカによる食害と言われています。ヤマトグサは、国内に広く分布していますが、生育地によっては個体数がほとんど見られなくなった地域も存在します。幸いなことに多賀町では現在もヤマトグサが見られますが、油断はできません。
ヤマトグサをはじめとする、多賀町に残る貴重な財産を守るためには、さまざまな取り組みが必要です。私も微力ながらも、博物館学芸員として、情報の発信や調査活動などを通して、この財産を後世に引き継ぎたいと思います。

→多賀町立博物館
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