- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府福知山市
- 広報紙名 : 広報ふくちやま 2025年9月号
6月26日、「加久藤火山灰層露頭」を福知山市指定文化財(天然記念物)に指定しました。今月号のシリーズ文化財では、この地層が語る歴史に迫ります。
■新たな福知山市指定文化財(天然記念物)は地層!?
─「加久藤火山灰層露頭(かくとうかざんばいそうろとう)」の歴史に迫る─
大江町南有路の旧有仁小学校敷地内には京都府下でも珍しい「加久藤火山灰層の露頭」があります。加久藤火山灰は、九州南部の霧島火山北方(現在の宮崎県小林市付近)に想定される加久藤カルデラが約33万年前に大噴火した際に飛散した火山灰のことです。その分布は九州・四国はもちろんのこと、遠くは長野県南牧村でも確認されています。
旧有仁小学校敷地内の露頭は厚さ約30センチ、4層に分かれています。
火山灰の堆積層はその真ん中の2層分、約20センチです。日光があたると火山ガラスがキラキラと光るのも火山灰の特徴です。
火山灰層の上層は白色、下層は薄い黄色をしています。通常、土砂などの堆積は上層が新しく、下層に行くほど古くなりますので、この露頭の場合は下層が33万年前の大噴火で飛散した火山灰の層で、上層がその後二次的に堆積した火山灰の層になります。加久藤火山灰は広範囲に分布する火山灰ですが、地表に現れる「露頭」としては近畿地方でも唯一です。
また、この露頭を含む由良川沿いの高位段丘層(50万年前~20万年前にできた河岸段丘)の堆積物はやや角張った泥岩や砂岩が主ですが、同じ由良川流域の高位段丘である長田野付近では上流の丹波山地を起源とする丸いチャートが主です。
現在の由良川の堆積物も丸いチャートが主なので、加久藤火山灰が堆積した約33万年前の大江町域には丹波山地を源流とする由良川とは別の河川が流れていたと考えられます。丹波山地が起源の丸いチャートは竹田川流域や加古川下流域にも見られるので、加久藤火山灰の露頭は当時由良川が大江町域を通って日本海へ流れていたのではなく、竹田川や加古川を通って瀬戸内海へと流れていたとする「由良川南流説」を補強する年代マーカーとしても重要です。
このようなことからも、この地層が、太古の福知山を語るとても貴重な文化財であることがわかります。
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