くらし 区制100周年記念 みなとの100年、みんなの物語

~これまでもこれからもこの地域(まち)と~

港区には、地域ごとに紡がれてきたまちの物語があります。区制100周年を機に、その過去と今を語り合い、これからの未来をともに思い描くインタビュー企画をお届けします。

■三先地域
江戸時代、新田開発によって発展した三先地域。農業用水を引くため尻無川から3本の水路(樋=とい)が並んでいたことにちなんで「三ツ樋町」となり、その先にあったことから「三先」の名がついたといわれています。南側の福崎は物流倉庫や工場が稼働し、港湾機能を担うエリアとなっています。今回は「三先まちづくり防災防犯部会」の皆さんにお話しを伺いました。

◇防災は“未来への準備”
今回集まってくださったのは、部会長の山岸恵津子さんをはじめ、三好博司さん、佐野順三さん、玉城昌秀さん、堀之内光晴さんの5名。部会は、青色パトロール隊・防災避難訓練部会+防災リーダー隊・環境美化等「まちづくり」に関する内容で11名の部会員で構成されています。
山岸さんは公園愛護会の活動から地域に関わるようになり、先輩に誘われて防災リーダーに。その後、約6年前から部会長を務めています。「私が部会長になった頃から、“女性にやさしい避難所づくり”が話題に。女性の部会長は珍しいですが、女性目線が活かせる部分も多いと思っています」と語ります。
部会では防災訓練や学習会などを実施していますが、コロナ禍以降は参加者の減少が課題となっています。一人でも多くの人に関心を持ってもらいたいと、昨年度は昼と夜の二部制で学習会を開催するなど、誰もが参加しやすくなるような工夫を凝らしました。
「私自身、防災リーダーになるまで、公園に防災用具があることも知りませんでした」と言う山岸さんですが、部会に参加してから考え方が大きく変わったそうで、「以前は防災って重たい印象でしたが、“未来への準備”だと教わってからは気持ちが軽くなりました。例えば、雨が降りそうなら傘を持つ──それぐらいの気持ちで自然に備えることが大切だと思います」と語ってくれました。

◇地域全体で取り組む防災防犯
山岸さんが「頼れる存在」として信頼を寄せるのが、町会長を務めてこられた佐野さん、三好さん、玉城さん。佐野さんと三好さんは青色防犯パトロールの活動に参加し、玉城さんも以前は同活動に参加していました。活動のきっかけを尋ねると、「頼まれて」と皆さん口を揃えます。「町会長を引き受けたら、いつの間にか防災や防犯の活動にも関わるようになっていて(笑)」と三好さん。佐野さんは「勤めていた頃は地域との関わりはなかったですからね。今では知り合いも増えて、近所での会話も自然にできるようになりました」と話します。
皆さんによると、「三先は住宅や団地、マンションが多い地域ですが、子どもの数は減少傾向」とのこと。大切な子どもたちの安全や地域交流に力を入れており、ハロウィンには『こども110番の家』や津波避難ビルを巡るイベントを開催。仮装やお菓子を楽しみながら、子どもたちの防犯意識を高める取り組みが行われています。

◇若い世代へ、想いと役割をつなぐ
ベテランと現役世代が協力して防災に取り組む三先地域。その中で、次世代の担い手として期待されているのが堀之内さんです。小中学校のPTAをきっかけに地域活動に関わり、「三先で楽しく子育てができたから、今度は自分が地域に恩返しをしたい」と防災リーダーに。「港区は海に近いので、津波を心配されることもありますが、だからこそ“安心して暮らせる街をつくりたい」との思いで防災士の資格も取得。「自分自身や家族を守る知識を身に着けることは、自助共助の上でも大切なこと」と語ります。

◇“明るい防災”で、安心できるまちへ
最後に、三先地域のこれからについて山岸さんに伺いました。「港区の中央には『Asueアリーナ大阪』という立派な施設があります。これを活用して、スポーツを通じた健康づくりや地域交流につなげられたらと考えています。ふれあいの輪が広がり、結果的に“安心安全なまちづくり”につながればうれしいですね」。体力づくりは、いざという時の備えにもつながります。「三先では“明るい防災”を合言葉に、前向きに取り組んでいきたいですね」。