- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府大阪市港区
- 広報紙名 : 広報みなと 令和7年9月号
■弁天地域
弁天地域は、JR大阪環状線とOsakaMetro中央線が交わる交通の要所であり、中央大通や国道43号といった幹線道路にも面した利便性の高いエリアです。大阪ベイタワーを中心とした商業施設など、区の玄関口としての顔も持っています。今回は、そんな弁天地域で連合の女性部長・主任児童委員として活動する森田春美さんに、地域の取り組みについてお話を伺いました。
◇子どもたちのためにできることを
森田さんが主任児童委員になったのは12年前。末っ子が小学校を卒業するタイミングで民生委員を打診されたことをきっかけに、「子どもたちのために何かできることがあれば」との思いから主任児童委員に就任しました。
現在は、未就学児とその保護者を対象にした「子育てサロン」に加え、独自の取り組みとして地域の会館等で「こどもの居場所」を毎月開催。弁天小学校の児童やその兄弟を対象に、広い畳の部屋を開放しています。「15~16人が集まると、子どもたちの熱気で部屋が狭く感じます」と笑顔に。もう一人の主任児童委員によるバルーンアートも人気で、子どもたちにとって楽しい居場所となっています。
◇世代をこえてつながる地域の力
地域活動を続ける中で、森田さんの印象に残っている出来事があります。PTA役員を務めていた当時、夏休みに生涯学習で「子ども和太鼓教室」を開催。それから数年後、思いがけない再会がありました。「一昨年の盆踊りのときに、20歳くらいの男の子が声をかけてくれて。誰かと思ったら、その和太鼓教室に来ていた子だったんです。今は地域防災リーダーになっていると聞いて、びっくりしました」。
若い世代が、地域の仕事を引き受けてくれていることがうれしかったと森田さん。子どもたちと地域との関わりを作ることの大切さも感じたと言います。「どんな活動をしているのかを知ってもらうことや、地域の会館に行ったことがある、地域の人の顔を知っている、そんな小さな接点の積み重ねが、将来地域の一員として関わってくれるきっかけになると思います」。
◇「楽しい」から、若い世代も多く参加
地域活動に対して「抵抗はなく、むしろ楽しんでいる」と話す森田さん。弁天地域では40~50代も多く参加しています。「先輩の世代が皆さん優しくて。参加できないときは無理をせず、できる人でやろうと言ってくださるので、引き受ける側も気が楽なんです」。そのおかげで現役世代も参加しやすく、連合の親睦旅行も「みんな楽しく参加しています」とのこと。順調に世代交代が進んでいます。
一方で、心配しているのは、PTA活動の縮小傾向です。森田さん自身も、地域との関わりはPTA役員から。小学校でお祭りを企画した際には、当時の女性部長が豚汁やぜんざいをふるまい、行事を支えてくれたことが印象に残っているといいます。「PTAと地域のつながりがあったからこそ、自然と地域活動に関わる流れができていたんです」。しかし、コロナ禍で行事が中止・縮小されたことで、そうしたつながりが薄れてしまうのではないかという懸念も抱いています。
◇助け合いが生む信頼、にぎわうまちへ
生まれ育った弁天町への思いも、森田さんの活動の原動力。「昔は何かあると、すぐに近所の人が駆けつけてくれました。今は“迷惑をかけない”ことが重視されがちですが、ちょっとした助け合いは必要では。女性部長の活動で教わった“人に頼られるのはうれしいこと。遠慮しすぎると、その喜びを奪ってしまうかもしれない”という言葉が心に残っています」。
これからの港区については、「子どもたちが希望を持てる港区であってほしい」と願っています。弁天地域としては「もっといろいろなお店ができて、にぎやかになれば。中崎町や福島のように、人が集まる場所になる可能性が弁天にもあると思います」と期待を寄せています。
◇森田春美さん
大阪市港区出身。みなと幼稚園、弁天小学校、市岡中学校を卒業した生粋の港区民。弁天小学校のPTA役員をきっかけに地域活動に参加し、現在は主任児童委員として子どもや子育て支援に携わっている。「弁天会館老人憩いの家」月1回の子育てサロンと、毎月第4土曜に「こどもの居場所」を開催中。