くらし 戦後80年 平和を考えてみませんか?

戦争体験者との交流や、戦争を語り継ぐ次世代の育成など、市では平和を守り続ける取組に力を入れています。終戦から80年の節目を迎える今年は、戦争や平和について学べるイベントが市内外で行われます。この機会に改めて「平和とは何か?」と思いを巡らせ、周りの人と話し合ってみましょう。

■堺大空襲を知っていますか?
堺では1945年3~8月に5回の空襲がありました。
中でも7月10日の第4次空襲では1,860人もの命が失われ、現在の堺東駅から堺駅にかけて約1万8,000戸の建物が焼失し、一帯は焼け野原となりました。この時の空襲を「堺大空襲」と呼んでいます。

■戦争体験者と、その体験を語り継ぐ方に話を聞きました
◇戦時中の記憶を語り継ぐ
戦争体験者:中野亘子さん

以前、電車の中で大学生が「戦争ってかっこいいな」と話しているのを聞き、若い世代が戦争の恐ろしさを知らないことにショックを受けました。「戦争をゲーム感覚で考えているのでは?」と不安を感じたのを機に、空襲の語り部として活動してきました。
戦争が起こると、爆弾で命や家が失われるだけでなく、食糧不足や貧困に長く苦しめられます。多くの目に見えない苦しみが生まれることを講話の中でしっかりと伝えるようにしています。こどもたちからは「ぼんやりとしか知らなかったことが、はっきりと分かりました」と感想の手紙をもらうこともあり、活動の励みになっています。
今もテレビで戦争のニュースを見ますが、爆弾が落ちた場所でどれだけの被害が起こっているか、そこにいる人たちの生活がこの先どうなるか、想像しながら見てほしいと思います。戦時中は全ての人が平和な世の中を渇望していましたが、それが今は実現しています。これを「当たり前」と思わず大切に守り続けてほしいと思います。

◇平和の灯を未来へ
次世代の語り部:小川湧水さん

長崎で生まれ育った私は、高校生の頃から平和活動に取り組んできました。就職を機に長崎を離れましたが、「住む場所に関係なく平和活動を続けたい」と思い、次世代の語り部育成事業に参加しました。堺と長崎では戦争の状況が異なり、体験者から聞く内容にも違いがあります。しかし、皆さんから伝わってくる「戦争は勝っても負けても悲惨であり、繰り返してはならない」というメッセージと「生き残った私が伝えなければ」という強い想いは同じです。
戦争のことは本や映像からも学べますが、体験者からは、資料の数値では伝わらない想いや感情を知ることができます。この「想い」こそが、体験していない私たちが共感し、理解を深めるきっかけになると感じています。未来の平和のために、過去の戦争から学び語り継ぐことは、私たちにもできることです。堺で戦時中に何があったのかを知り、復興に尽力された方に思いを馳(は)せることで、堺の街の見え方も変わってきます。
私たちは体験者の話を直接聞ける最後の世代と言われています。体験者と交流を重ね、できる限り多くのことを学び、語り継ぎたいです。

《次世代の語り部育成》
戦争を体験した世代が少なくなる中、堺大空襲の歴史や平和の大切さを語り継ぐために、市では新しい世代の語り部を育成しています。
活動の様子をインスタグラムで紹介しています

■夏休みの学習に。歴史を知るきっかけに。平和を学ぶ機会が充実
◇平和を伝える映画祭「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」
《SNSで話題の映画から平和を学ぶ》
話題作の上映とパネル展を通じて、戦争の記憶や教訓を次世代へ伝えます。

日時:7月23日(水)13時30分~16時
場所:ソフィア・堺(中区深井清水町1426)
要申込:7月1日から先着順

◇堺原爆展
《原爆の記憶を風化させないために》
堺在住の被爆者とその二世による原爆展。平和活動の若き担い手の高橋悠太さんによる講演や被爆者の講話などがあります。

日時:7月26・27日10~18時(27日は16時30分まで)
場所:堺市総合福祉会館5階(堺区南瓦町2-1)

問合せ:堺原爆被害者の会事務局(片岡)
【電話】090-7764-5451

◇平和と人権展
《イオンモールで楽しみながら平和を考える》
戦争体験の講話や、楽しく学べる人権落語、親子ワークショップなど、夏休みの自由研究にもぴったりです。

日時:8月2・3日10~16時
場所:イオンモール堺鉄砲町(七道駅前)

◇堺市・セレッソ大阪「平和学習イベント」
《みんなでつなごう平和のパス》
次世代の語り部の講話を聞き、戦争の悲惨さと平和の大切さを学びます。参加者は当日の試合に招待します。

日時:8月11日(祝)15~16時30分
場所:ヨドコウ桜スタジアム(大阪市東住吉区長居公園)
対象:小学生とその家族
要申込:7月14日まで

◇堺平和のための戦争展
《自由研究にも役立つ戦争と平和の展示》
展示や音楽、次世代の語り部による講話、こどもステージなどで平和の大切さを考えます。

日時:8月16日11~17時、17日10~15時20分
場所:サンスクエア堺(堺市駅前)

問合せ:堺平和のための戦争展実行委員会(小松)
【電話】080-2444-2098

◇府市連携企画
《堺大空襲の記憶を市内外へ広く発信》
堺大空襲の体験者が少なくなる中、その被害を語り継ぐため、府と連携したパネル展と次世代の語り部の講話を行います。

日時:7月3日~8月19日9時30分~17時(入館16時30分まで)
※次世代の語り部の講話は7月6日13~14時30分
場所:ピースおおさか(大阪市中央区大阪城2-1)
有料:入館料(講話に参加する方は無料)
要申込:講話のみ。先着順

◇[施設でも]平和と人権資料館
戦争の悲惨さと平和の尊さ、人権や地球の環境を守る大切さを次世代に伝える施設です。堺大空襲に関する展示や映像もあり、詳しく学ぶことができます。

場所:中区深井清水町1426(ソフィア・堺内)
開館:9時30分~17時
休み:月曜日(祝休日の場合は翌日も)、祝休日、7月1日

問合せ:
【電話】270-8150
【FAX】270-8159

《企画展「戦後80年の堺の復興パネル展」》
太平洋戦争で5回にわたり空襲を受けた堺。平和を渇望し、戦後の復興に向けて歩んだ足跡を写真パネルでたどります。

日程:7月2日~9月28日

問合せ:人権推進課
【電話】228-7420
【FAX】228-8070