健康 [特集]今、はじめようフレイル予防(1)

「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?「聞いたことはあるけど、よくわからない」という人が多いのではないでしょうか。今号では「フレイル」の基礎知識や兆候、簡単にできる予防方法などを紹介します。いつまでも元気に過ごすため、今からフレイル予防を始めましょう。

■フレイルは改善する。早めの対処が回復のカギ
公益社団法人大阪府理学療法士会副会長 中村昌司(なかむらしょうじ)さん

▽フレイルってなに?
フレイルとは「老化に伴う心身の衰え・虚弱」のことで、健康と要介護状態との境目です(下図参照)。誰もが陥る可能性がありますが、適切に対応すれば健康状態に改善するタイミングです。原因は個人によって様々ですが、意図せず体重が減ったり、以前はできた動きができなくなったときは注意が必要です。

▽フレイルを予防しよう
「食べる(栄養)・歩く(運動)・話す(社会参加)」の3つがポイントで、バランス良く取り入れることが重要です。また、自分でできる簡単なフレイルチェックの方法は「指輪っかテスト」や「イレブン・チェック」などが一般的ですが、青信号の間に横断歩道を渡り切れないなど、歩くスピードが遅くなった場合も注意が必要です。
自分自身や周囲の人に「むせやすい」「食欲がない」「引きこもりがち」「元気がない」などのフレイルの兆候が見られるときは、地域包括支援センター(11面参照)に相談してください。早めの対処が早期回復につながります。

▽フレイルの兆候があるか確認!イレブン・チェック
回答Bに〇が多いほど、フレイルの可能性が高まります。

▽指輪っかテスト
親指と人差し指で輪をつくり、利き足でないふくらはぎの一番太い部分を囲んでみましょう。
※詳しくは本紙をご覧ください。

■フレイル予防につながる3つの柱
栄養(食事・口腔(こうくう)機能)・運動・社会参加をバランスよく実践し、フレイルを予防しましょう。

◆栄養(食事・口腔機能)
▽健康のために「主食(ごはん)・主菜(魚・肉)・副菜(野菜)」を3食しっかり食べることが重要です。たくさんのキャベツやネギ、お肉、イカ、エビを入れたお好み焼きは「主食・主菜・副菜」がそろうのでおすすめです。1回の食事量が少ない場合は、間食をうまく利用しましょう。
カルシウムの吸収を促進するビタミンDの摂取も大切で、食事からだけではなく日光を浴びると体内生成されるので、散歩しながら日光浴しましょう。
「お好み焼きのほかカレーやシチューもおすすめ!」
公益社団法人大阪府栄養士会 栗林美貴子(くりばやしみきこ)さん

▽「口は健康の入り口」と呼ばれ、オーラルフレイル(口腔機能の低下)になると、フレイル状態になりやすいといわれています。「人と話す」「一口30回以上噛む」「歯みがき・うがい」などを行い、口周りや舌を鍛える・口内環境を整えることはオーラルフレイルの予防につながります。
家に閉じこもりがちな人は、誰かと話したり食事の機会がある人よりも、オーラルフレイルになる可能性が高いです。今すぐ予防を始めましょう。

オーラルフレイルチェック
2つ以上該当で要注意!
・固いものが噛めない
・むせる・食べこぼす
・口が渇く・口臭が気になる
・自分の歯が少ない
・滑舌が悪い
公益社団法人大阪府歯科衛生士会 大森(おおもり)かずみさん

◆運動
高齢でも体を動かすことで筋力を維持・向上できます。日常生活の中に運動を取り入れたり、体操教室や運動イベントなどに参加し、体を動かしましょう。

◆社会参加
社会との関わりを失うことがフレイルの入り口です。外出の機会を増やし、フレイルを予防しましょう。
散歩や買い物に出かけたり、趣味の集まりや地域のボランティア活動、サークル活動に参加し、友人や地域の仲間とおしゃべりしながら楽しく過ごしましょう。

▽トレーニングや体操だけでなく、座る姿勢や洗濯物を干す、台所に立つなど、日常生活の動作も運動の一つになります。安い品を求めスーパーをはしごすれば、体とお財布両方のためになります。
また、週に1回以上は家族以外と接する機会を設けましょう。電話や手紙、メール、SNSなどを通じての交流も社会参加の一つです。体操教室や趣味の教室などの情報は、市介護保険課や地域包括支援センター、広報紙などで集めることができます。
一般社団法人大阪府作業療法士会 関本充史(せきもとみつし)さん

▽フレイル状態から回復!仲間がいるから活動できる。
膝を痛め、一昨年に両膝の人工関節手術をしました。術後、歩くのが大変だったり、生活で使用している自転車に乗ることができずに困り、気持ちが落ち込んでしまいましたが、老人会の「いきいき百歳体操」などで仲間と一緒に体を動かし、久米田寺まで往復2時間のウォーキングができるほど回復しました。
今は、ゴムバンドを使った運動を体操仲間にレクチャーしたり、老人会のウォーキングなどの地域活動に参加しています。仲間と一緒に楽しみながら運動することで続けられています。
畑町在住 瞿曇順子(くどんじゅんこ)さん(81歳)

問合せ:介護保険課地域包括ケア推進担当
【電話】072-423-9475【FAX】072-423-6927