- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府寝屋川市
- 広報紙名 : 広報ねやがわ 令和7年4月号
■障害を乗り越え大阪・関西万博で個展開催へ
アーティスト MUSASHI(むさし)さん(21歳)
アートの才能に目覚めたのは中学生のときでした。知的障害がありながら自由な感性と多彩な色使いから生まれる作品が注目され、4月に開幕する大阪・関西万博での個展開催にこぎつけました。
◇CDのイラストに感激
小さい頃から手先が器用で工作が得意でした。小学生の時は画用紙にキャラクターを描き、別々に切り抜いた手足や顔を立体的に貼り合わせて遊んでいました。
絵を描くことに熱中したのは府立寝屋川支援学校の中学部に入った頃です。シンガーソングライターの米津玄師さんが自ら描いたCDジャケットのイラストに「格好いい」と感激。「自分も描いてみたい」と思ったのがきっかけでした。
◇絵画教室で独自スタイル磨く
3年生になると寝屋川市の自宅に近い絵画教室へ。「実験ではありませんが、この画法を使ったらどうなるのかなと楽しみながら描いていました」。マーカーやアクリル絵の具などを使い、今につながる色彩豊かな独自のスタイルを磨きました。
高等部のときに描いた『ON、OFF(オン、オフ)』は一番印象に残っているという自信作です。〝スイッチオン〞で顔が飛び出すアイデアは斬新で、思い出や感情を細かい筆致で描いたキャラクターで表現。大手文具メーカーの公募展で最高賞に輝きました。
◇「マイペースで描いています」
パラアーティストとして、寝屋川市内の(株)石富プロパティーに所属して活動。摂津市内にある事務所の一角に〝仕事場〞があります。作品の下書きやアイデアを書きとめたメモなどがびっしりと壁に貼られたアトリエで「1日7〜8時間くらい、マイペースで描いています」。
企業や団体からポスターやロゴの制作依頼もあり、寝屋川支援学校の創立50周年を記念したクリアファイルもデザイン。高等部を卒業するときに「先生の想像を超える大人になります」という手紙をもらった担任の橋本李枝さんは「本当に想像を超える活躍で、私も生徒もパワーをもらっています」と喜んでいます。
◇万博個展、世界への一歩に
7月9日から2日間、大阪・関西万博の会場内で開かれる「世界のMUSASHI個展」は、クラウドファンディングなど多くのファンや団体の応援で実現。障害のある全国の仲間とのプロジェクトも進行中です。
MUSASHIさんの下絵を塗り絵や貼り絵にしてもらい、モザイクアートに仕上げた合同作品も万博ギャラリーに展示。「友だちの家に遊びに行く感覚で見に来てほしい」と話します。次の目標は「世界各地で個展を開くこと」。万博をステップに〝世界のMUSASHI〞へ夢は広がります。