くらし 【特集】行ってみよう!オープンファクトリーOPEN FACTORY(3)

■「オープンファクトリー」の名付け親とゆく
ものづくりの裏側、徹底取材
工場見学と違い、「従業員側が主体となる」のがオープンファクトリーです!
経済産業省
近畿経済産業局
津田哲史さん

「オープンファクトリー」という言葉を生み出した、津田さん。近畿経済産業局に入局後、さまざまな産業支援に取り組み、現在は近畿地方(2府5県)にある工場やものづくり企業をつなぐネットワークづくりに力を入れています。
大阪・関西万博に向けて、中小企業の魅力をもっと広めるために、関西各地でイベントを企画したり、全国の取り組みをまとめた「OPENFACTORYREPORT」という報告書を作ったりしています。
近畿経済産業局では年間千社訪問を目標にし、現場の声を大切にしています。関西だけにとどまらず、全国各地を視察する「ものづくり企業の専門家」である津田さんと市内の企業を取材し、ここにしかない魅力ポイントを教えてもらいました!

◆明星金属工業
世界の自動車産業を支える「魂のモノづくり集団」!
創業75年、自動車用プレス金型の設計・製造を通じ、「魂を込めたモノづくり」で多様なお客様のニーズに応え、信頼を築く事を大切にしています。地域社会には人財育成を通じ、地域に愛される会社をめざしています。

自動車の金型は、同じ形状の部品を大量に生産するために用いられます。デザインが金型によって決まるため、車の品質の要であると言えます。

◇主な取扱製品
トヨタ・日産・ホンダなど国内メーカー向けの金型のほか、マツダ車のロードスターなどのボンネットやバックドア、ダイハツ車のフロントフェンダー・フロントドア・ルーフの金型を製造。国際的なデザイン賞を多数受賞する、マツダの「魂動デザイン(生命感と躍動感を表現したデザイン)」の実現を支えました。

◆製造工程に密着!
1 金属素材を加工
金型の原型となる素材の表面を削り、基準となる形を出します。操作するのは大型NC加工機。
NC加工とは、工作機械をコンピュータで制御して切削を行う加工方法です。曲線などの複雑な形状もプラグラムにより、この段階である程度加工されます。
※NC…「NumericalControl」の略。日本語で数値制御を意味します。

2 取り付ける部品を加工
金型は数百点の部品からできており、それをまた正確に組み付け・加工します。

3 組み上がったものをプレスして試し打ち
パーツに応じたプレス機で圧力をかけ、組み上がった型を使って、鋼板を型抜きします。

◆津田さん的魅力ポイント!
圧巻!1800トンのプレス機
1800トン規模のプレス機が間近で見られる工場はとても珍しいです!見ているだけでもその大きさに圧倒されます。そして目に見えているところだけが全てじゃない!地下もすごいんです!1800トンの圧を支えるために、地下37メートルまで杭を打ち、岩盤に届くようにしています。オープンファクトリーでは、地下の様子も公開しています。

◆なにわの名工 山崎達博さん
ミクロン単位で仕上げる高い技能を持っています

◇なにわの名工が8人も!?
名だたる自動車メーカーのデザイナーが考える一流のデザインを忠実に再現できる金型を作るのは、簡単なことではありません。車の金型を作るということは、デザイナーの思い描いた形を具現化させるということ。寸法通りであることは当たり前で、デザイナーの感性を形にできているかがポイントとなります。
時にはミクロン単位の修正を求められることも。「もうちょっとあたたかみを出してください」といった、感性による高い水準の依頼に応えることは、とても難しいことです。
明星金属工業には、大阪府が認めた優秀技能者(なにわの名工)が8人います。この職人たちの力もあり、どんな依頼にも真摯に対応してきた歴史と実績が、大手自動車メーカーからの信頼につながっています。

4 部品を修正
わずかな歪みなど、機械では調整しきれない部分については、職人の目と長年の経験や感覚に頼った手作業によって、精度を高める必要があります。

◆地域との関わり
学校とのつながりや、工場見学で地域に貢献
ひらりす保育園と四条小学校の卒業制作が工場の壁に飾られています。毎年工場見学も受け入れ、地域との絆を深めています。