くらし ミサキの先へ vol.11

岬町地域おこし協力隊mossan(もっさん)が岬町で輝く人物や場所に出向いてインタビューさせてもらうページです。

■小説「多奈川線」著者
中村勲(なかむらいさお)さん
岬町を舞台に成長していく少年の青春物語
作品に込められた町への想い

─中村さんが小説「多奈川線」の作者とお聞きしました
「はい。普段は塾講師をしており、小説を書いたのは今回が初めてになります」
─それは思い切った挑戦ですね。そんな中村さんが岬町を舞台とした小説「多奈川線」を執筆されようと決心されたきっかけは?
「私は60歳をこえておりまして、生きてきた集大成みたいなものを創作したいと考えていました。生まれも育ちも岬町なので、小説でこの町の魅力や歴史を色んな方々にお伝えできればいいなと思い執筆しました。ちなみに表紙の絵は妻が描いてくれたものです」
─とても素敵な絵ですね。小説を読ませていただいたのですが、岬町の地名や場所が数多く登場してくるので読んでいても情景が思い描きやすかったです
「この町を古くから知っている方は昔を懐かしみながら、今の岬町しか知らない方はこんな時代もあったのだと思い巡らせながら読んでもらえたら…そしてまだ岬町をご存知ない方はこの小説を読んで興味を持って実際に足を運んでもらえたらありがたいですね」
─小説の主人公が岬町の風景に勇気づけられるシーンもありますよね
「人間誰しも困難にぶつかり気持ちが奥底まで沈んでしまいそうになる時があります、そんな気持ちを救ってくれる風景が岬町にはたくさんあると私は思います」
─それは中村さんご自身の経験にも基づいていますか?
「もちろん私もこの町の風景に何度も心を救われたことがあります。特に力をもらえたのは夕陽です」
─日本の夕陽百選にも選ばれるくらい岬町の夕日は本当に綺麗ですよね
「あの夕陽が沈めば沈むほど海面に映った光が自分の方へ伸びてくるんですよ、その光が自分だけを照らしてくれる道に見えて私は勇気と力をもらえるのです」
─そんな素敵な観点で夕陽を眺めたことはなかったので今度試してみます!
「気さくに話しかけてくれる近所の釣り師のおっちゃんや、多奈川線がガタンゴトンと走る音、自分に力をくれる風景がたくさんこの町には存在しています」
─そんなたくさんトピックスがある岬町で小説のタイトルを「多奈川線」に決めた理由はなんだったのですか?
「タイトルの候補はいくつかあったのですが、多奈川線が特に過疎の象徴だと感じたからです」
─過疎の象徴?
「岬町は昔に比べると人口もかなり減り、空き地や空き家も目立つようになりました。岬町を走る電車の多奈川線は特に衰退が目立ち、少し前にお昼の多奈川線の本数が一本に減少してしまった時にタイトルを多奈川線にしようと決意しました」
─それは色々と考えさせられる理由ですね
「この町が好きだからこそこのままではいけないと思っています。この小説も岬町が少しでも盛り上がるきっかけになればと思い執筆しました」
─僕も地域おこし協力隊として町おこしに携わっているので一緒に盛り上げていきたいですね
「私はこの小説を通してこの町の伝えたいことが4つあるんです」
─4つ?
「過疎の象徴、今に蘇らせたい歴史、見守ってくれる景色」
─残りの1つは?
「これは答えがあるわけではないのですが、小説のラストシーンを読んでみなさんがそれぞれ感じてくださることです」
─なるほど、これはぜひみなさんも小説を読んで自分の目で確かめてほしいですね
「岬町は歴史的にも豊かな町ということをこの小説を通じてみなさんに感じてもらえたら嬉しいと思います。例えば岬町には古墳が多くありますよね?古墳を作ろうと思えばそれだけの人数がいるわけです、それがたくさんあるということはそれだけこの町が盛り上がっていた証でもありますから」
─岬町の歴史や文化、そしてこの町で青春時代を過ごす少年の物語「多奈川線」をぜひみなさんに読んでもらいたいですね
「町内町外問わずたくさんの人に読んでもらえれば幸せです。よろしくお願いします」

■インタビューを終えて…
小説「多奈川線」の中で僕も知らない岬町の店名などがたまに登場するので、今回のインタビューでそういったお店が昔はあったのですか?と中村さんに尋ねたら「いいえ、そういう店名のお店はありません」との回答が。「では架空のお店ですか?」と聞くと、例えば小説に登場する深日港の喫茶店[フォンターナ]というのはイタリア語で[泉]という意味になると答えてくださりました。…勘のいいみなさまならもう意味がお分かりですよね?勘の悪いそこのあなたはぜひ小説を読んでから深日港周辺を歩いてみてください、きっと答えがわかるはずです!そういった小説の楽しみ方もあるというmossanアドバイスでした☆

問合せ:まちづくり交流館(多奈川谷川3400-6多奈川駅徒歩1分)
【電話】080-4012-5482(まちづくり交流館直通)【E-mail】[email protected]