くらし 五国の現場から

県内各地で行っている県の主要施策の取り組みなどをクローズアップします。

◆SCENE1 創造的復興の理念の共有と継承を
神戸ポートピアホテル(神戸市中央区)
単に復旧するだけでなく、災害前よりもより良い社会の姿を目指していく「創造的復興」は、阪神・淡路大震災で生まれた復興モデルです。その後の大規模災害の被災地でも受け継がれてきた創造的復興の理念や経験を共有するため、「創造的復興サミット」を9月20日に開催。国内7県5市町村やトルコ1県、5関係機関の代表がそれぞれの復興状況や取り組みを発表したほか、復興過程での課題について意見を交わし、最後に「創造的復興の理念を繋ぐひょうご宣言」を発表。互いに連帯し、災害の経験と教訓を未来をつくる力に変えていくことを宣言しました。

・ひょうご宣言の全文は、県ホームページに掲載しています。

◇復興や防災を担う次世代も参加
午前中には、防災に取り組む国内6高校・大学の生徒、学生による活動報告会を開催。取り組み発表やパネルディスカッションの後、生徒、学生20人が災害の経験と教訓を世代や地域を超えていかに継承していくかを検討し作成した「次世代の行動宣言」をサミット会場で発表しました。

「復興はまだこれから。被災地にずっと居るとネガティブな気持ちになることもあるので、今こそどんどん能登に来てほしいです。」
石川県立輪島高校3年生 中村輝人さん

「震災を経験していない私が伝えていいのかと葛藤がありましたが、今はつないでいくことが大事だと考え、積極的に活動しています。」
県立舞子高校 環境防災科2年生 宮田七海さん

「小学4年生の時、父と震災20年目の「1.17のつどい」に初めて参加してから、自分には何ができるんだろうと考えるようになりました。」
神戸学院大学 現代社会学部 社会防災学科3年生 石塚碧士さん

◇創造的復興が進む各地の取り組み
・石川県 2024(令和6)年1月に能登半島地震、9月に奥能登豪雨と複合的大規模災害が発生。同年6月策定の創造的復興プランに基づき、空港の拠点機能強化や祭り再興など13のリーディングプロジェクトを展開しています。兵庫県では、現在も6人の職員を県・珠洲市に派遣し支援を続けています。
・宮城県 2011(平成23)年の東日本大震災後、「復旧にとどまらない抜本的な再構築」として仙台空港の民営化や水産業復興特区の導入、広域防災拠点の整備などハード面のほか、心のケア、地域コミュニティーの再生などソフト面でも創造的復興に取り組んでいます。
・トルコ 1999年のトルコ北西部地震の際に兵庫県民からの義援金を原資に「ひょうごトルコ友愛基金」を設立。奨学金プロジェクトを展開し、親を亡くした子どもたちを支援してきました。その後も兵庫県と防災・文化交流を続け、2023年2月のトルコ・シリア地震後は、土木工学などを学ぶ被災県出身の大学生に奨学金を支給。卒業後の都市防災力強化への貢献が期待されています。

・午前中は震災関連施設などを見学して回りました。
・その他の地域・団体の取り組みは県ホームページで紹介しています。

◆SCENE2 産業の展示会で兵庫のポテンシャルをPR
神戸国際展示場(神戸市中央区)
西日本最大級の産業の総合展示会「国際フロンティア産業メッセ2025」が9月4日、5日に開催されました。県内外から過去最高の550企業・団体が609ブースを出展。展示技術に見入ったり担当者の説明に耳を傾けたりする人でにぎわい、講演やセミナーも多数行われました。県では、未来を拓く先端技術の特別展示を企画するなど、「ものづくり県・兵庫」をPR。今後も、兵庫経済をリードするイノベーションの加速や国際的なビジネスネットワークの形成に向けて取り組んでいきます。

・2日間で延べ1万4,000人以上が来場しました。
・海外ビジネスセミナーでは、県や神戸市による海外進出支援策を紹介。

◇特別展示で紹介!兵庫発の先端技術
・川崎重工業(株)の航空機用小型水素エンジン
※(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託事業
水素航空機コア技術研究プロジェクト総括部 楠本吉昭さん
水素を燃料とし二酸化炭素を排出しない航空機の誕生に向け、明石工場で開発を進めている水素ジェットエンジンの試験機を初展示しました。昨年10月、水素ガス100%燃焼の運転試験に成功。体積が小さく機内に搭載しやすい液化水素をエンジンに供給するシステムを完成させ、4年後の実証試験を目指しています。

・新明和工業(株)の無人飛行艇
※(国研)科学技術振興機構の委託事業
航空機事業部技術本部技術部 小松聡さん
海上で発着できる無人飛行艇の開発に神戸市東灘区の甲南工場で取り組んでおり、試作機を展示しました。無人探査機を運搬し、海面に着水後、自動で出し入れする際に機体が安定するよう胴体を2つに設計。10年後の完成を目指しセンシングや自動操縦を実証している段階で、将来的には海洋調査などで活躍する予定です。