くらし 〔特集〕外来生物と野生動物 1
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- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県神戸市
- 広報紙名 : 広報紙KOBE 2025年(令和7年)6月号
■身近にいる困った生きものたちを知って、暮らしへの被害をみんなで防ごう
生きものたちの困った生態は?どんなルートで日本に入ってきたの?さらには被害状況や市の対策など、身近にいる「外来生物」と「野生動物」について、知っておきたいことを解説します。
◆そもそも外来生物って何でしょう?
・環境局自然環境課 池田
外来生物とは、食用やペットのほか、輸入品のコンテナにまぎれるなど、もともといなかった場所に人の手により持ち込まれた生きもののことです。農作物を荒らし、人に危害を加えるといった被害のほか、旺盛な繁殖力で生態系に悪影響を与えるため問題視されています。市でも対策を行っていますが、被害が拡大して手遅れにならないように、市民の皆さんもご協力をお願いします。
◆見て知るなら「外来生物展示センター」へ!
実際に見て、触れて、聞いて、学べる、外来生物問題に特化した日本で唯一の公的施設。オオサンショウウオ交雑種など生きた外来生物を観察したり、アライグマの手を疑似体験したり、映像を使ったクイズやゲームに参加するなど、場内の展示を進むたび知識が身につきます。専門員が見学者の年齢に合わせてわかりやすく解説します。
8月下旬に一部リニューアル予定!アース製薬との連携協定により、昆虫の生態や標本、体験コーナーなどの展示が充実した「昆虫室(仮称)」を新設します。
時間:11:00~17:00(土・日曜のみ。見学は要事前予約)
場所:長田区苅藻島町3-12-28苅藻島クリーンセンター内
今年も開催!外来生物を食べて、外来生物問題を学ぶ、夏のイベントを8月上旬に開催予定。
◆身近に困った生きものたちの被害が出ていませんか?
海と山が近く自然豊かな神戸では、まちなかでも困った生きものたちが生息しています。市内での被害や発見した時の対処法を知っておいてください。
◇外来生物 お花見の木が大好物!クビアカツヤカミキリ
※発見したら市に通報!(体長約3〜4cm)
赤い首、光沢のある黒色の体が特徴で、海外から輸入された木材や木の梱包材にまぎれて国内に入ってきました。最大1,000個の卵を産み、幼虫はサクラ・ウメ・モモなどの木の中を食い荒らします。
市内の被害状況:北区・西区・灘区で確認。幼虫による食害が進むと、樹木が枯れてしまう
市の対策:被害木の伐採・焼却などの処分、農薬の投与、成虫拡散防止のネットを木に巻くなど
・大量のフラスが目印!
被害を受けた木の根元には、木くずとフンが混ざった大量のフラスが見られます
◇外来生物 公園の木や街路樹を枯らす!ツヤハダゴマダラカミキリ
※発見したら、市に通報。六甲アイランドではカミキリポストへ!(体長約2〜3.5cm)
成虫は在来種のゴマダラカミキリによく似ていますが、翅(はね)の付け根がつやつやしていることで見分けられます。40~60個の卵を産み、幼虫はアキニレなどの木の中を食い荒らします。クビアカツヤカミキリと同様に輸入木材などにまぎれて侵入しています。
市内の被害状況:主に六甲アイランドで確認。幼虫による食害が進むと樹木が枯れてしまう
市の対策:被害木の伐採・焼却などの処分。毎年6~8月に「カミキリポスト」を六甲アイランド情報交流センターに設置し、六甲アイランド内で市民が捕獲した成虫を回収・駆除
・木くずのようなフラスが目印!
高い枝から木くずが出ている木は被害を受けている可能性が高いです。
◇外来生物 農作物を食べつくすグルメハンター!アライグマ
1970年代ごろからテレビアニメの影響でペットとして輸入され、増加。ところが、凶暴な性格のため人になつかず、飼えなくなって捨てられたり、自ら逃げ出したりしたことで、今では全国で野生化しています。
市内の被害状況:スイカ・イチゴ・ブドウなど年間2,000万円以上の農作物被害や、住宅の屋根裏に侵入して起こす騒音、糞尿による悪臭など生活環境被害が発生。在来種のサンショウウオ類やカメ類などを捕食し、生態系にも悪影響
市の対策:捕獲用の檻の設置、貸し出しを実施。希望者は鳥獣相談ダイヤルへ。毎年約2,000頭を駆除
身近にできる対策:
・家屋への侵入を防いでねぐらをなくす
・絶対にえさを与えない
・感染症を媒介する危険もあるため、糞尿を処理する際はマスクやゴム手袋を着用する
◇外来生物 人馴れしてしまうのでえさやりは厳禁!イノシシ
基本的におとなしい性格ですが、追いかけたり、石を投げるなどすると、逆に向かってきたりして大変危険です。嗅覚が優れていて、食べ物のにおいを嗅ぎつけてやってくる場合もあります。
市内の被害状況:ゴミ収集場を荒らす。人に噛みつく、体当たりをする
市の対策:東灘区・灘区・中央区の一部では条例に基づきイノシシへの餌付けを禁止。毎年1,000頭程度を駆除
身近にできる対策:
・近づいてきた場合は、慌てずゆっくりと後ずさりする
・襲われそうになったら買い物袋やバッグを体から離す
・絶対にえさを与えない
◇外来生物 植物にも困ったヤツ!?史上最悪の外来植物 ナガエツルノゲイトウ
南米原産の水生植物で、白い花が咲き、茎が長く伸びます。水生植物ですが陸上や海浜にも生育可能で、茎は簡単にちぎれて水に浮き容易に拡散します。根がほんの少しでも残っていれば再生する、きわめて繁殖力が強い植物です。
市内の被害状況:西区の一部のため池、河川で確認。在来植物との競合、水田への侵入、利水障害などが危惧される
市の対策:光合成できないよう、生育場所に遮光シートを張り死滅させるなど
◆発見したらLINEで通報または鳥獣相談ダイヤルへ電話 鳥獣相談ダイヤル
イノシシやアライグマ、ハクビシンなどに困ったら、お電話ください。相談員が、年中無休でアドバイスします。アライグマ・ハクビシンには、捕獲檻の貸し出しも可能です。その他の野生動物は、民間駆除業者の窓口を伝えます。
【電話】33-4408
受付時間:8:00~21:00(年中無休)
・手遅れになる前に、早期発見で早期対策!もし外来生物・野生動物を発見したら、LINEでの通報にご協力ください。(詳しくは4面へ)