健康 お薬立ちmemo

皆さんの健康に身近なお薬についてのミニ知識

■第10回目「民間薬 正露丸(せいろがん)の歴史」
「おなかが痛い!確か家にあったはず…」と、特に昭和生まれの人は正露丸に1度はお世話になったことがあるのではないでしょうか。

正露丸は、日露戦争の時期に中島佐一薬房(現在の薬局)が「忠勇征露丸」の販売名で民間薬として発売したのが始まりで、122年の歴史を持つ家庭薬です。不衛生な戦地で体調を崩す兵士が多くいましたが、飲みにくい味でなかなか服用したがらなかったため「ロシア(露)を征す」という意味を込め「征露丸」と名がついたと言われています。時代の流れで「征→正」となり、現在の名称になりました。
正露丸の主成分である木(もく)クレオソートは、最古の使用方法としては古代エジプトのミイラの保存に殺菌効果目的として使用されていました。
正露丸の薬理作用としては、主成分の木クレオソートが腸の正常な運動を止めることなく、腸内の水分バランスを調整し、おなかを正常な状態に戻します。特に食あたり、水あたり、消化不良などで起こる軟便や下痢のほか虫歯の痛みにも効果を発揮します。最近ではアニサキスによる腹痛に対し、アニサキスの動きを弱めて痛みを抑える効果等も認められています。米国では健康補助食品として販売され、日本から中国へ輸出されている数少ない民間薬のひとつです。
このように正露丸は歴史のある民間薬ですが、服用してもなかなか症状が改善しない場合は、漫然と服用せずに医療機関を受診しましょう。
広報あこうでの「お薬立ちmemo」の紹介は本稿が最終となりますが、市民病院ホームぺージおよびインスタグラムで引き続き紹介していきます。