- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県川西市
- 広報紙名 : 広報かわにし milife 令和7年2月号
■「読書」にまつわる思い出
◇サービスを受けるのにルールがあるのは当然ですが、柔軟性も必要なのでは?
今回は、川西育ちの私の個人的な思い出などを書いてみようと思います。
1998年に亡くなった私の父は、よく本を読む人でした。若い頃に結核で長期療養し、「他にやることがなかったから本が好きになった」と冗談ぽく話していたことがあります。退職後は徐々に体が衰え、外出が難しくなっていきました。当時会社員をしていた私は、しばしば父に頼まれて、本を買って帰っていました。もちろん、欲しい本をいくらでも買えるわけはありません。
思い出すのは、「図書館が、郵便で送ってくれたらいいのになあ」という父の言葉です。父いわく、「身体障害者手帳を持っている人は、本を自宅まで郵送してもらえるサービスがあるけど、自分はその資格がない、残念だ」とのことでした。
父の言葉を思い出して、市立中央図書館のホームページの「障がい者サービス」を見てみたところ、「身体障害者手帳1~3級の交付を受け、来館が困難な人は、無料で図書の郵送貸し出しができます」と書かれてありました。
公共サービスを受けるのに、一定の資格が設けられるのはやむを得ないことです。しかし、晩年の父の寂しそうな顔を思い出すと、そのサービスが柔軟になされてほしいと思います。例えば「外出が困難な状態」を客観的に示す診断書などがあれば、郵送貸し出しを可能にするなどです。
(公財)世界人権問題研究センター研究員 松波めぐみ
問合せ:人権推進多文化共生課
【電話】072-740-1150